FAST-Force指定掃海艇「いずしま」はどう機能した? 北海道地震、発生からの1週間

船からは見えないこともある

 司令部要員として「いずしま」に乗り込んでいた第45掃海隊司令の小林倫彦2等海佐は「いずしま」乗員たちの士気の高さを評価しつつ、「現場を見なさいと指導している」といいます。なぜならば、艦艇は陸上には上がれないからです。地震災害は往々にして内地で発生します。津波被害の場合は沿岸からもその被害の様子を見て取れますが、今回の地震は沿岸部から見るとほぼ無傷に見えていました。

「時間を作って、交代で避難所の様子を見させています。そうすることによって、直接自分たちの目で被災地の状況を見て感じるものがあると思うのです。実際に避難所などを見てきた隊員たちは、何かを感じ取ってきたのだと思います。やはり、船の上にいるだけでは、現地の状況はよく分からないのです」(第45掃海隊司令 小林2佐)

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「いずしま」艇内2か所ある浴室のひとつ(矢作真弓撮影)。

 掃海艇は海上自衛隊のなかでも小さい艦艇に分類されます。小さくても1隻で生活に必要な設備を備える艦艇は、被災地においてもその能力を発揮して、多くの被災者を支援することができます。また、小型であるが故に、制限を受けることなく様々な港に入港することもできます。

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浴室にはシャワーも設置されている(矢作真弓撮影)。
艇内の通路の様子。ここからお風呂や休憩所に向かう(矢作真弓撮影)。
被災者支援用に準備された米袋(矢作真弓撮影)。

 発災直後から数日間に渡って多くの被災者支援を行っていた「いずしま」は9月13日、隣へ入港してきた民間チャーター船「はくおう」に被災者支援任務を引き継ぎました。その役目を終えた「いずしま」は、14日の早朝に静かに苫小牧港を離れ、函館基地へと戻っていきました。

【了】

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Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

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コメント

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1件のコメント

  1. 難しい問題ですね。
    陸海空で海上自衛隊は最も人材確保に苦労している筈。大型艦にばかり世間の注目が集まりますが、此の手の小型の支援船舶の活躍にも注目して欲しいです。