熊本大地震21分後にF-2発進 何も見えない戦闘機、災害時になぜ飛ぶ?

2016年4月14日に熊本県で発生した大地震において、真っ先に離陸した自衛隊機はF-2戦闘機でした。これには阪神淡路大震災の教訓が活かされています。

地震発生、そのとき自衛隊は

 2016年4月14日21時26分ごろ、熊本県において震度7の地震が発生。これを受けて熊本県知事は22時40分、自衛隊に対して災害派遣要請を行いました。

 自衛隊は、災害派遣要請を受諾する以前から自主的に情報収集活動を開始。地震発生から21分後の21時47分には航空自衛隊築城基地(福岡県)からF-2A戦闘機が2機、緊急発進(スクランブル)し、次いで九州北部の各基地・駐屯地から陸海空自衛隊のUH-1Jヘリコプター2機、UH-60/SH-60ヘリコプター5機、P-3C哨戒機1機、U-125A救難捜索機2機を相次いで発進させました。

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航空自衛隊のF-2戦闘機(写真出典:航空自衛隊)。

 真っ先に離陸した自衛隊機がF-2戦闘機であることに疑問を抱いた方もおられるかもしれませんが、これは全ての戦闘機基地にて、発進命令後5分以内に2機が離陸できる即時発進体制「5分待機」を維持していることに由来します。

 5分待機は本来、領空に接近する所属不明機を迎撃するために行われており、災害発生時の緊急発進という場合にも、F-2(場合によってF-4やF-15)はミサイルを携行したまま離陸。戦闘機の高い機動性を活かして真っ先に被災地上空を飛行し、パイロットは目視で地上を確認、無線通信によって第一報を送ることを任務とします。

 今回の地震発生は夜間でした。F-2は対艦攻撃など、夜間の低高度飛行が必要な任務に用いる赤外線前方監視装置を搭載可能ですが、5分待機に就く機体には装備されません。よって今回、緊急発進したF-2パイロットは、ほとんど何も見えず帰投したはずです。しかし、例えば「大規模な火災は確認できない」といった「何も見えなかった」という報告そのものが、貴重な情報となりえます。

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コメント

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15件のコメント

  1. 中国もロシアも、日本の顕著な災害発生の最中こそ、日本の防衛能力(遅れなどで動揺)をスクランブルの姿をみて、データ収集していることは想像できると思うが、今回の事例においても排除できないと考える。そういう姿勢を国外的に封じることも自衛隊のミッションであると思う。

  2. 別にいいじゃん

  3. F-35のセンサーにそんな用途もあったとは。なるほど。百聞は一見にしかずで、有効な情報が早い段階で得られて、適切な支援に繋げられそう。

    ちなみに、中越地震などでもF-2なりF-4なり飛んだんでしょうか?

  4. 使えるものを全て使い
    情報を集める。
    初動の必要性は、全てに勝ります。

  5. せっかく自衛隊は頑張っていても、政府自体の初動がうまくいっているとは全く思えないけどね。

  6. 東日本・・11分後発進。やはり、出てはいたんですね。
    でも、広いから白波のない海、リアルに官邸に伝えられても、大津波、判断できなっかたのかなー。
    余計ですが、先人たちが、毛筆や18メーター記し、で伝えていたのに・・、「逃がさなかった」自治体が甘かった。

  7. >F-4E/J 680さま

    百里基地新選組隊長機の、
    カン&クリの機体ナンバーですね!!
    “初動の必要性”“情報を集める”から判断して、F-4E/J 680さんは栗原二尉でしょうか?

  8. これは良記事。もっと自衛隊の国内への活躍を周知すべき。

  9. 阪神淡路大地震の時は、翌朝、AH-1(アパッチ)の様なヘリが神戸市(少なくとも、灘、東灘区)上空を低高度(概ね300フィート)で飛行し、数百メートル毎にホバリングして、その場で360度旋回し、あたかも全周写真を撮っているような行動を取っていました。
    その後、1時間ほどしてから、2 台人組の二輪の偵察隊と思われる迷彩仕様のバイクが、何組か通過し、さらにその後、5人程度のグループ(一個小隊規模?)の自衛官が、山方面に向かって通過して行きました。
    私の家の救助活動(祖母が倒壊家屋の下敷きになっていて、自分達で居場所は確認していた)に手を貸してくれたのは、東京消防庁・渋谷?新宿のレスキューの方々でした。柱の下にいたので、家族だけでは引き出せなかった時、祖母の遺体を出してくれました。

  10. 戦争ではなく国民の安全を守るための道具に使って欲しいね

    • 専守防衛が基本である自衛隊にとっては戦争も「国民の安全を守るため」に他ならないが、それでも戦争を否定するとはこれいかに。

    • 災害時にこうして国民の安全のために使ってるのになぜ戦争にしか使ってないように言うのか…
      戦争に使うにしても自衛隊は国民を守るため防衛の為に戦うのに…

    • 自衛隊はおれ達を守ってくれているんだよそういう事を考えていっているの

  11. 阪神淡路大震災では、要請を待たずに地震の第一報後に自衛隊機(非戦闘機?)が最初に動いて上空を飛んだいう読売新聞記事を記憶しています。
    2021年2月の福島・宮城(震度6強)地震でも,こちらは戦闘機2機が飛んだとの報道もありましたが、いずれにせよ自然災害時に戦闘機を緊急発進させることは、それ自体が日本の国防体勢に影響がない事実をすぐに相手国に示す意味で重要な任務だと思います。

  12. この前の地震でも小松からF15飛びましたね