幻になった「京阪電車の梅田行き」 いまなお残るその痕跡(写真11枚)

関西大手私鉄の多くは「キタ(梅田)」か「ミナミ(難波)」の繁華街にターミナルを設けていますが、京阪電鉄はどちらにも乗り入れていません。しかし、かつては梅田への乗り入れ計画があり、その痕跡が意外な場所に残っています。

現在は湾岸方面への延伸構想が進行中

 しかし、昭和不況の影響を受けて京阪電鉄は経営難に陥り、新京阪鉄道の経営も芳しくありませんでした。1930(昭和5)年には、経営再建のため京阪電鉄と新京阪鉄道が合併。梅田乗り入れプロジェクトを推進する余裕はなくなっていました。

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京阪電鉄乗越橋の銘板。大阪環状線の高架化に伴い1932年に完成した(2018年11月、草町義和撮影)。

 また、京阪電鉄は1932(昭和7)年、京阪本線の蒲生駅を城東線の京橋駅近くに移転。城東線に乗り換えしやすくすることで、梅田へのアクセスルートを確保したのです。こうなると、京阪電鉄が自力で梅田に乗り入れる必要性も低くなります。

 いっぽう、城東線の高架化は工事が進み、京阪梅田線をまたぐための橋りょうは1932(昭和7)年に完成しました。京阪線をまたぐ橋ということで「京阪電鉄乗越橋」と名付けられましたが、肝心の京阪電鉄は戦時中の1942(昭和17)年、梅田乗り入れのための営業許可を国に返上。橋の下を京阪電車が通ることはありませんでした。

 こうして京阪電鉄の梅田乗り入れは幻に終わり、新京阪線も戦時中から戦後にかけての統合、分離を経て阪急電鉄の京都線に生まれ変わりました。ただ、1963(昭和38)年に京阪本線の天満橋~淀屋橋間が延伸開業。2008(平成20)年には中之島線・天満橋~中之島間も開業し、大阪の中心部への乗り入れを図っています。

 京阪電鉄は中之島線をさらに西へ延伸する構想も持っています。これは大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」へのアクセスを見据えたもの。夢洲は大阪万博(2025年開催予定)の会場になることが決まり、さらにはカジノを併設した統合型リゾート(IR)を整備する構想もあります。

 ただ、大阪万博の会場輸送は、大阪メトロ中央線を延伸して対応する方針がほぼ固まっています。京阪中之島線の延伸が実現するかどうかは、IR構想の進展次第ということになるでしょう。

【了】

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Writer:

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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コメント

2件のコメント

  1. 土地勘がない人間にとって、この記事は読みにくい。

    文章の合間に地図をのせてくれた方がもっと読みやすくなるのでは?

  2. ほお

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