JR北梅田駅、建設開始 開業で大阪はどう変わる? 秘められた可能性

JR西日本が進めている、大阪駅北側への北梅田駅(仮称)新設と東海道線支線の地下化。2016年10月末、その工事が全面着工されました。この完成で「うめきた」は、そして大阪はどうなるのでしょうか。人の流れが一変する可能性もありそうです。

大阪駅北側の地下で進むプロジェクト

 JR西日本が2016年10月27日(木)、大阪駅の北側付近で進めている「東海道線支線地下化・新駅設置工事」の様子を報道陣に公開しました。

 この東海道線支線は「梅田貨物線」とも呼ばれ、新大阪駅方面と関西空港を、大阪駅を経由せず結ぶ特急「はるか」などのルートになっている路線。そして同線へ新たに設けられる北梅田駅(仮称)は、大阪駅北側に広がる梅田貨物駅跡地の再開発エリア「うめきた」のシンボルともいえる存在です。この地下化と新駅開業により今後、大阪・キタにおける人の流れが一変するかもしれません。

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大阪駅の北側付近で行われる東海道線支線の地下化工事と、北梅田駅(仮称)設置工事の概略図(画像出典:JR西日本)。

 この日に公開されたのは、「東海道線支線地下化・新駅設置工事」の6つある工区のうち最も工事が進んでいる「北2工区」。繁華街の真ん中にぽっかりとできた広大な空き地、そのなかに入ると掘削された地下空間で着々と工事が進んでいました。

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地下化工事の様子。コンクリート製のトンネルを造るための作業が行なわれている(2016年10月、伊原 薫撮影)。

「この工事は、現在は地上を走っている東海道線の支線を地下に移設し、同時に新駅を造るものです。北2工区では深さ12m、幅12mの大きな溝を掘り、ここに高さ7m、幅11.5mの箱型トンネルを作る工事を行なっていて、現在は15%ほどが完了しています」と、工事所長の桐畑修一さんは話します。

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「東海道線支線地下化・新駅設置工事」の概要図(画像出典:JR西日本)。

 また、工事が公開された10月27日(木)には、「東海道線支線地下化・新駅設置工事」6工区のうち唯一、着工されていなかった「駅部工区」(北梅田駅部分)について、近くの神社で安全祈願祭が実施され、翌28日(金)からその工事が始められました。

 これにより、「東海道線支線地下化・新駅設置工事」は6工区すべてで工事がスタート。全面着工を迎えています。東海道線支線の地下化と北梅田駅の開業は2023年春の予定で、全体の工事費は約690億円です。

「なら・シルクロード博覧会」で注目された路線

 このたび大阪駅の北側付近が地下化される東海道線支線(梅田貨物線)、それができたのはいまから90年ほど前です。1928(昭和3)年に、それまで大阪駅で行っていた貨物の取り扱いを分離するため、大阪駅の北側に梅田駅(梅田貨物駅とも呼ばれる)を開設するとともに、同駅と吹田方面を結ぶ路線として開業しました。

 そして1934(昭和9)年には福島駅(大阪市福島区)方面、現在の大阪環状線へ続く線路も完成し、現在の形に。以後、この路線は貨物路線として重要な役割を担うことになります。

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地下化される東海道線支線(梅田貨物線)と梅田貨物駅跡地、大阪駅の位置関係。梅田貨物駅跡地は再開発済みの部分を含む(国土地理院の地図を加工)。

 転機が訪れたのは1988(昭和63)年のこと。同年に開催された、「なら・シルクロード博覧会」へのアクセス手段としてこの路線が注目され、ここを経由して新大阪~天王寺~奈良間を結ぶ臨時列車が設定されたのです。

 これをきっかけに、東海道線支線を経由した定期旅客列車の運転が計画され、翌1989(平成元)年7月からは紀伊半島方面への特急「くろしお」が、それまでの発着駅だった天王寺から延長運転し、新大阪、京都駅へ直通するようになりました。1994(平成6)年9月には関西国際空港の開港と同時に特急「はるか」も乗り入れ、いまではJR西日本有数の“特急街道”として、同社に欠かせない存在となっています。

 なお、大阪駅で東海道本線(JR京都線、JR神戸線)と大阪環状線が接続していますが、線路の構造から、東海道本線と大阪環状線の直通運転はできません。

見納めになる戦前からあった風景

 東海道線支線(梅田貨物線)が“特急街道”になる一方で、大阪駅前北側の一等地に広がる梅田貨物駅は、国鉄分割民営化にともなう債務返済のため、移転したうえで土地を売却することが決定されます。

 多くのハードルが立ちはだかるなか、移転計画は少しずつ進められ、まず2008(平成20)年に東側の約3分の1で更地化が完了。2013(平成25)年には跡地へ大型商業施設「グランフロント大阪」が開業し、大阪駅周辺における人の流れは大きく変わりました。

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「グランフロント大阪」から撮影した、廃止直後の梅田貨物駅。かつてはここを貨車やコンテナが埋め尽くしていた(2013年4月、伊原 薫撮影)。

「グランフロント大阪」の開業に先立つ2013年3月には、関西本線(大和路線)の百済貨物ターミナル駅(大阪市東住吉区)と、東海道本線(JR京都線)の岸辺~吹田間に新設された吹田貨物ターミナル駅(大阪府吹田市)へ機能を移転する形で、梅田貨物駅が85年の歴史に幕をおろします。

 梅田貨物駅が撤去されたあとに残されたのは、新大阪駅方面と福島駅方面を結ぶ東海道線支線だけ。今回の地下化工事が完了したとき、戦前からここで見られた列車の通過風景も見納めとなるのです。

新設される北梅田駅、それが持つ大きな意味

 梅田貨物駅跡地へ登場した大阪・キタの新たなランドマーク「グランフロント大阪」には、商業施設や宿泊施設、オフィスビルに加え、産官学連携の知的創造、交流の場「ナレッジキャピタル」があり、国内だけでなく世界の研究者、経営者たちが集う場としても注目されています。

 そして今後、「グランフロント大阪」の西側地区についても梅田貨物駅跡地の再開発が行なわれる予定で、現在はその開発計画や事業者の決定に向けて準備が進められています。

 その動きを加速させるのが、このたび着工された北梅田駅です。

 現在、関西空港からの特急「はるか」や紀伊半島方面からの特急「くろしお」は、東海道線支線(梅田貨物線)経由で大阪駅エリアを素通りし、新大阪駅へ向かっていますが、地下化後は北梅田駅に停車する予定。つまり、この「うめきた」地区が関西空港などと特急で直結されるのです。工事所長の桐畑さんも「北梅田駅を介して関西空港とキタがダイレクトにつながることで、外国人訪問客などが多く訪れ、この地域の活性化につながってほしい」と話します。

 また、この「東海道線支線地下化・新駅設置工事」により、大阪駅の西側にある1か所の踏切が解消されるほか、道路の上を線路がまたぐ「架道橋」2か所が撤去され、道路の高さ制限がなくなります。大阪駅方面と梅田スカイビル方面のアクセスも向上する見込みで、この地域自体もより便利になることが期待されます。

大阪・キタの流れが一変する可能性

 ここでさらに注目なのが、北梅田駅の持つポテンシャルの高さです。JR西日本では2019年春の新大阪~放出~久宝寺間の全線開業を目指し、おおさか東線の建設を進めていますが、このおおさか東線は新大阪駅から北梅田駅へ乗り入れできる線路構造。おおさか東線から北梅田駅への直通運転も今後、検討されることでしょう。

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おおさか東線の概略図。2019年春に新大阪~放出間が開業する予定。久宝寺~放出間は開業済みで、放出~鴫野間は片町線(学研都市線)と重複(画像出典:JR西日本)。

 北梅田駅には、JR難波駅と結ぶ「なにわ筋線(仮称)」の計画もあります。現在、大阪府と大阪市、JR、南海の4者で協議が進められおり、2016年9月には、JRと南海が共同運行する案や、南海がこの北梅田駅を経由してJR新大阪駅まで乗り入れる案が議論されている、という話が出ています。

 大阪・キタの人の流れを一変させる可能性を秘めた、東海道線支線の地下化と北梅田駅新設。7年後の完成が、いまから楽しみです。

【了】

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コメント

8件のコメント

  1. そもそも関西の鉄道はJR西日本を中心に廻ってるわけではないし、大して変わらないとは思う。JR神戸線・宝塚線方面から「はるか」「くろしお」への乗り継ぎが、新大阪まで行かなくてもできるというメリットくらいか。
    北新地駅同様、「北梅田」駅という、別駅扱いになるのか?大阪駅とは近いから「大阪駅」として同駅扱いになるのか。。。

    おおさか東線にしても、沿線のほとんどの駅で既に他路線で梅田までまっすぐ出られる。沿線の、クロスする他路線へ乗り継ぐ路線と、新大阪へのアクセス線としての利用に限定されるのではないだろうか?

    • うめきた〜なにわ筋線〜難波〜南海経由で、はるかとラピートを統合し、阪和線の負担を低減させる仰天プランが浮上。もしこれが実現すれば、人の流れは大きく変わるでしょうね。
      今回の準備工事は見送られるそうですが。

  2. 自分の故郷だから、なおさらよく分かるが、関西が急速に衰退している以上、活性化は限定されると思う。特に大阪は東京に対抗するだけが目的化してきた結果、特色が何もなくなってる。今回打ち出されている目的に斬新さは皆無で、わざわざ大阪でなければならないものは見あたらない。

    • よい意味で「わが道を行く」大阪は何処へ行ってしまったのだ?

      新しいものを創造する風土、気質、気概・・・まだ健在なのだろうか?

      東京に対する対抗意識なんてものはなく、あちらはあちら、こちらはこちら。
      「大阪」はそういうものだ、彼らは日本の西半分の核たるものを生み出しているのだ。自分は関東の人間だけれども子供の頃からそう思っていたし、恐らく比較的最近まで大体あっていたのだと思う。

      なまじ東京への対抗意識なんか持ってしまうからダメなんだ。
      だから衰退するんだ。
      「大阪」はわが道を行かなきゃダメなんだ。
      だからこその「大阪」なんだ。
      だからこそ「大阪」は支持されるんだ。
      皆、実は分かっているはずだ。

      がっかりさせないでくれ!!

      ・・・知性良心の欠片もない二日酔いオヤジの悪口雑言です、あんまり相手になさらんで・・・。

    • 衰退してるんですか?
      全くそんな感覚ないですが。。。

  3. おおさか東線からの直通運転は無いだろうと思います。メリットが限定的過ぎる様に思います。

    おおさか東線で設置予定されている淡路駅からは阪急で梅田に出れば住むし、野江だと、谷町線の野江内代駅で東梅田駅に直接アクセスできますから、メリットがあるのは、都島駅からの乗客ぐらいでは無いかと思います。

    既設線の南区間からに関しても、西吹田や新大阪を経由して北梅田に出るよりも、環状線で大阪駅に出る方が早くなる可能性も高いですし、新大阪へのアクセスやそれぞれの郊外鉄道へのアクセスといった面では効果あるかと思いますが、北梅田との相互利用客は少ないのでは無いかなと思っています。

    おおさか東線と、東海道支線はやはり別物と考えるべきだと思うのですが、折り返しなどのホーム容量の関係が出てくると、こういったことはあるのかなと思います。この場合、北梅田でなく、おおさか東線から桜島線まで乗り入れることができれば、新大阪~北梅田~USJと観光需要の見込めそうな駅を結ぶ方がいいのかなと思っています。

  4. 今の場所なら大したにならない。問題はもっと北側に駅が無いこと。

  5. 大阪駅とほぼ同じ位置だよね。新駅にする意味なさそう。なにわ筋の新線を見越してるとしても
    大阪駅の拡張でよくない?歩行距離はちょっと多くなるけど天王寺駅の阪和線と環状線の関係みたいにさ。