【国鉄105系の現況】100両を割り込んだ車両群の配置と運用(写真16枚)
ここまでは105系登場のいきさつや主な活躍の軌跡、各形式と各番台の形態などを紹介しました。最後はJR西日本に100両弱残る105系を、所属区所別にご紹介します。
現存するのはJR西日本エリアのみ
電化ローカル線向けの電車として国鉄末期にデビューした105系は、のちに103系を種車とする改造車も迎え入れて、大きな勢力になりました。
しかし寄る年波には勝てず、現在残っているのは100両を割り込んで96両のみ。すべてJR西日本のエリアで運用されています。
置き換え迫る改造4扉車 現存車の半数占めるブルーの105系
吹田総合車両所 日根野支所 新在家派出所(48両)
和歌山市内の新在家派出所に所属する105系は、現存する105系のちょうど半数、48両です。このうち38両は、103系改造の4扉車(2両×19編成)。おもに和歌山線と桜井線を走っており、通常は2連、ラッシュ時には2+2の4連で運用されています。残る10両(2両×5編成)は、紀勢本線の紀伊田辺~新宮間で2連単独運用されているオリジナルの3扉車です。
和歌山線・桜井線用の4扉車は、種車である103系時代からの経年が48年、105系化改造後でも34年を超える古兵(ふるつわもの)ばかり。いずれも奈良線と和歌山線の全線電化開業時に投入されて以来、同線で活躍を続けている車両です。
クモハは全て500番台で、501~510の連結相手は同形のクハ104形500番台。517の連結相手は1969年製のモハ102-385にクハ105形0番台先頭部を接合したクハ104-551で、その他8編成の連結相手は103系1000番台クハを105系化したクハ105形0番台となっています。外部塗装は登場以来クリーム地に赤帯で、最近までラッピング車も数多く存在していましたが、現在は全車が地域カラーの青緑色一色で統一されています。
編成毎の特徴としては、SW004、005,007~009とSW010編成のクモハは冷房装置が集中式のAU75系、SW010編成のクハは分散式のWAU102×3基、その他の車両は簡易冷房改造でWAU202を搭載しています。
また、SW001、003、007の3編成は1992(平成4)年から1993(平成5)年にかけて延命N40工事を受け、戸袋窓を埋め込み、側窓は黒色サッシの上段下降、下段固定式に交換されています。SP001~005の5編成は、冬季の架線着霜対策としてクモハの前位にパンタグラフを増設したWパンタ仕様となっており、冬季は常時ふたつのパンタグラフを上昇させて、始発列車などに限定した運用が組まれています。
改造105系グループの運用は16運用あり、和歌山線・桜井線の全線と紀勢本線の和歌山~和歌山市間で、2連ワンマンの全ての列車に充当されます。和歌山線と桜井線では、朝と夕夜間を中心に4連や6連の運転もありますが、このうち和歌山線で105系の2+2連が充当されるのは朝の4427M(平日は粉河で分割)、1433M、437T(五条まで)、489Mと、424T、432M(橋本まで)、434Mの上下6列車。桜井線で105系の2+2連となるのは朝上り528Mの1列車のみです。これ以外の4連や6連には117系や201系、221系などが充当されます。
両線の105系は、117系と共に2019(平成31)年3月から2020年3月にかけて新製の3扉ロングシート車227系1000番台2連×28編成によって全て置き換えられる計画で、既に2018年9月には227系の第1、2編成の計4両が先行配置され、現場の教育、訓練が始まりました。また、同年12月までにさらに8編成が落成し、乗務員の習熟が始まるなど3月頃の第1次置き換えに向けての準備が着々と進められています。
毎年の正月三が日は、桜井線沿線にある三輪大社等の寺社への初詣客輸送のため、通常2連ワンマンで運用される105系が2+2連に増結され、応援に103系4連も登場する臨時ダイヤが組まれ、注目を集めています。平成最後の正月は、もしかすると桜井線の105系2+2連臨時増結列車も見納めとなるかもしれません。
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Writer: 佐藤利生(鉄道ライター)
1961年東京生まれ。幼少より鉄道に興味を持つ。大手私鉄で運輸、車両、企画部門などを経験し、部長職で退職。在職中より鉄道趣味誌で国内外の鉄道車両に関する記事や写真を発表。鉄道設計技師(車両)、慶應義塾大学鉄道研究会三田会と海外鉄道研究会の会員。全国のJR、民鉄、軌道、モノレール、新交通は全線を完乗。