徹底解説! 西鉄6050形「ザ・レール・キッチン・チクゴ」(写真45枚)
走行装置も大幅に変化
2号車はダイニング席が8人分設けられたほかは、スペースの大半がオープンキッチンにあてられました。このオープンキッチンが「ザ・レール・キッチン・チクゴ」最大の特徴といえる部分。大きな窯を中心に、様々な調理器具が設置されました。鉄道車両の車内では原則として火を使えないため、すべての調理器具が電磁・電気式です。
車内とデッキ、トイレの照明は全てLED方式で、3000Kの暖色系で統一されました。このうち客室の照明は、直接照明と間接照明を使い分けて配置。調光機能も追加されています。
このように、車体の外観と内装は大きく変わりましたが、それだけではありません。2号車に集中している走行装置も大きく変化しました。
6050形は、かご形三相誘導電動機という交流モーターを採用。制御装置はVVVFインバーター方式を採用しています。抵抗器を使ってモーターを制御する6000形に比べて電気を節約でき、省エネルギー化が図られていますが、今回の改造に際して、次世代半導体素子のSiCを用いた新しいVVVFインバーター制御装置が導入され、さらなる省エネ化が図られました。
また、改造前はひとつの制御装置が4個のモーターを制御する「1C4M」でしたが、改造後は「1C2M×2群」に変更。すなわち2個のモーターを制御する制御装置をふたつ搭載しました。照明や調理器具などで使う電気を供給する補助電源装置も、二重系によるバックアップ機能を持つ静止形インバーター(SIV)を採用。西鉄はこれらにより故障時の冗長性を確保したといいます。
6053編成「ザ・レール・キッチン・チクゴ」は今後、訓練運転などを行い、2019年3月からの営業運転に備えます。
【了】
Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)
鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。
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