タクシー「行灯」誕生の背景 元々「社名表示」は目的じゃなかった 老舗メーカーに聞く
「JPNタクシー」対応に工夫
――最近はどのような変化がありますでしょうか?
いま広まりつつあるトヨタ「JPNタクシー」などでは、屋根上の中央ではなく、前方の傾斜部分に取り付けるケースが多いです。こうした車両はもともと背が高いので、行灯も低めのものをラインアップしているほか、取り付け部分の傾斜に合わせ、模様や文字も左右対象ではなく左右面で少しずらすこともあります。
また、行灯に使う電球のLED化が進んでいます。従来型の行灯はずっと点けていることもあり、相当熱くなりました。LEDは熱を持たないので安全で、明るくアピール度も高いです。
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ちなみに、近年は車両の変化だけでなく、ある規制の関係で、行灯の更新が進みました。道路運送車両法で定められた、いわゆる「外部突起物規制」です。かんたんに言うと、人対車両の事故が発生した際に、車両がさらに人をケガさせないよう、外装に鋭利な突起を有してはいけない(車検に通らない)とするもの。タクシーの行灯においては、たとえば長方形の全ての辺や角(外部の全周)に、2.5mm以上の丸みを付けたものが適合とされました。
この規定は2010(平成22)年3月、7年の猶予期間を経て2017年4月をもって全面適用とすることが国土交通省から告知され、その間、タクシーでは徐々に適合品への更新が進みました。しかし、猶予期間が残すところ半年となった2016年10月、国土交通省は「対応が進んでいない」「突起に起因する重大事故が起こっていない」などの理由で、この規定を適用しないことを発表。2010(平成22)年以前の基準で作られた行灯を付けていてもOKとなり、この理由で更新を行う必要はなくなっています。
【了】
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