ドイツ軍ツェッペリン飛行船「アフリカ号」 大冒険飛行と反転のナゾ 不滅の大記録も

航空黎明期の第1次世界大戦にてドイツ軍が配備した飛行船の1隻「アフリカ号」は、実は21世紀現在も破られていない作戦飛行の記録を打ち立てています。しかも謎のUターンというエピソードつき。その背景と実際の航路などを追います。

行くか戻るか? 孤立無援の「圏外」飛行

 1917(大正6)年11月21日午前5時、「アフリカ号」は22名の乗員に、フォルベック隊向けの機関銃30丁と小銃、弾薬、医薬品、郵便物、鉄十字勲章など補給品15tを搭載して、ブルガリアのヤンボルにあった飛行船基地を飛び立ちます。作戦名は「China-Sache(中国案件)」で、遠大な飛行を予感させるものでした。同盟国トルコの領空を通って地中海を横断しますが、クレタ島付近で暴風により通信アンテナを破損し、無線連絡が不調になり、「アフリカ号」の前途に暗雲が立ち込めます。

Large 20190320 01 Large 20190320 02 Large 20190320 03
     
飛行中の「アフリカ号」ことLZ104飛行船。
LZ104とボーイング747「ジャンボジェット」の大きさ比較(月刊PANZER編集部作成)。
建造中だったツェッペリンV級の、船体を延長する工事のさなかといわれる写真。

 11月22日午前5時15分、「アフリカ号」はアフリカ大陸に到達します。寒暖差が大きい過酷な砂漠環境で、高度を一定に保つことさえ困難な飛行となりました。昼間は酷暑のなか、砂漠からの強い照り返しで乗員は目をやられ、夜間は気温が下がるにつれどんどん高度も下がり、23日の朝には地表スレスレまで降下して墜落寸前、乗員は寒さに震えます。全長200mを超える巨体が超低空飛行するのですから、下から見上げれば大迫力だったはずです。

 そうしたなか、運の悪いことに、前部ゴンドラのエンジンがトラブルで停止。このエンジンが無線機用発電機を動かしていたため、無線受信はできるものの発信ができなくなりました。そしてこの無線通信に、その後「アフリカ号」は翻弄されることになります。

 11月23日、行程の約半分であるスーダンのハルツームから西方約200km付近を飛行中のことでした。「アフリカ号は作戦を中止。帰還せよ」との命令無線を受信し、船内ではこの無線をめぐって議論が起こります。一部の乗員は、これをイギリスの謀略だとして飛行継続を主張しますが、無線を受信することはできても発信できない「アフリカ号」には確かめる術がありません。

この記事の画像をもっと見る(6枚)

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. アフリカにラドンみたいな本物の“空の魔王”がいたのかも

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス