由来は「トントン」たたく音 船の大きさ示す単位、各種の「トン数」はなにを表す?

「総トン」は重さにあらず 各種「○○トン」の意味するものとは?

「総トン」とは容積を表す単位で、日本においては「国際総トン数」および「総トン数(国内総トン数)」の2種類に分けられます。船体や上部構造などの容積を、国際的に定められた計算方法で算出し表すものが「国際総トン数」で、このとき前述のように、100立方フィートを1容積トンとして計算するため、ヤード・ポンド法を元にした単位になるというわけです。なお、日本国内で「総トン数」とのみいうときは、上述の「国内総トン数」を指し、国際総トン数に独自の係数をかけて算出される単位が使用されています。おもに客船など、船体の容積(広さ)を重視する船の大きさを示すのに使用されます。

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郵船クルーズ「飛鳥II」。全長241m、5万0142総トン(乗りものニュース編集部撮影)。
米海軍空母「ロナルド・レーガン」。全長333m、満載排水量10万1429トン(武若雅哉撮影)。
オイル/ケミカルタンカー「SLNC PAX」。全長101.39m、載貨重量トン数7985トン(武若雅哉撮影)。

「排水トン」とは重さを表す単位で、おもに軍艦や護衛艦などで使用されます。船を水に浮かべたときに、その船の水中に沈んだ部分が排出した水の重量を示すもので、たとえば、満水の湯船に浸かったときに、湯船からあふれ出るお湯の量がそれにあたり、実質的にその船の重さ(質量)そのものを表しています。従来、乗組員や燃料などの搭載量の違いから細分化されていましたが、近年は計画上の乗組員、燃料、弾薬、食料、水など所定の搭載品を最大限搭載した「満載排水量」が、各国の海軍などで広く公式の諸元として使用されています。なお、冒頭に触れた「基準排水量」について、海上自衛隊では独自の算出方法を使用しており、他国のそれと名前は同じでも中身が異なる数字です。

「載貨重量トン」とは、船に何も積載していない空の状態の排水量と、貨物などを満載にした時の排水量の差のことで、つまり、その船がどれくらいのものを積めるのかを表しています。ただし満載状態には燃料、食料、水などを含むため、実際に積める貨物量はこの数字より小さくなります。貨物船やタンカーなどに使用され、たとえば物資を10万トン積める船を「10万トンタンカー」などと呼んでいます。かつての「千石船」なども、この「載貨重量」を元にした呼称です。

 このように船の大きさを表す単位は、たとえ「トン」とついていても、重量であったり容積であったりと、いくつもの種類があり、単純に数字だけで比較できるものではありません。

【了】

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