由来は「トントン」たたく音 船の大きさ示す単位、各種の「トン数」はなにを表す?
樽が単位といっても、大きさもあれば重さもあるわけで
さて、ひと口に「樽の数を基準とした単位」といっても、そこには「大きさ(容積)」と「重さ(質量)」があり、それぞれ別の単位になります。当時の酒樽の容積は、1個あたり40立方フィート(約1.133立方メートル)、その樽に酒を満たすと重さは2240ポンド(約1016kg)です。これを基準単位として、前者を「容積トン」、後者を「重量トン」と呼ぶようになり、海運業界での習慣となっていきました。つまり、船の大きさを表す「トン」は、「容積」を表すものと「重さ」を表すものに大別されるというわけです。
それから時代を経て、重さや大きさを表す国際的な単位系として、日本も採用する「メートル法」が提唱されたのち、「重さ(質量)」について、1000kg=1トンと規定されました。日本国内で重さ(質量)を表す「t」の由来はこれです。前述のように、「トン」はもともとイギリスで使用されていたヤード・ポンド法における単位なので、それとは異なることを明示するため「メトリックトン(メートル法におけるトン、の意)」とも表し、またメートル法が制定されたフランスにちなみ「仏トン」とも表されます。これに対し、2019年現在もヤード・ポンド法が広く使われているイギリスやアメリカにおける「トン」は、それぞれ「英トン(ロングトン)」「米トン(ショートトン)」と表し、英トンは前述のとおり約1016kg、米トンは約907kgとなっています。
そして海運業界で使用する「重量トン」については、長らく英トン(ロングトン)が使用されてきたのですが、現在ではメートル法を適用した1000kg=1重量トンが広まっているとのことです。
一方、容積トンも変化が見られ、かつて1容積トン=酒樽1個=40立方フィートだったものが、現在では1容積トン=100立方フィート(約2.831立方メートル)と規定されています。つまり「容積トン」に関しては、実はイギリスのヤード・ポンド法を元にした単位系になります。イギリスは、公式にはメートル法への移行を進めているのですが、海運業界ではまだヤード・ポンド法を元にした単位も広く使われているのです。
では現在、船の大きさを表すのに、具体的にはどのような単位が使われているのでしょうか。おもなものとして、「総トン(グロス・トン)」「排水トン」「載貨重量トン」が挙げられます。
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