貨物航路「敦賀~博多」きょう就航 「複線化」で災害リスクに対応

「博多→本州の貨物が少ない」は杞憂?

 特に九州ではすでに、北九州や大分などと本州とのあいだで、多数の貨物船が運航されています。また近海郵船は以前の取材時、過去に日本海側の本州~九州航路が失敗した要因について、「博多から本州への物量が少なかった」ことを挙げていました。

 しかし現在は、ドライバー不足などを背景に、「世の中のニーズが変わってきている」とのこと。

「既存の他社航路から本航路へ軸足を移すというお申入れはありません。案件としては、(本州~九州間を)全て陸送されていて改善を希望されるお客様が最多です。次に多いのが、航路の開設による新たな流通の創出、その次がBCP(企業が災害時などに損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図る計画)ルートの勘案です」(近海郵船)

 博多からの貨物については、自動車関連、鉄材や鋼材、食品、日用品などを想定しているとのこと。すでに、敦賀行きの便で自動車メーカーの部品輸送が決まっているなど、大口の荷主も確保しているそうです。

 この敦賀~博多航路には、近海郵船が常陸那珂~苫小牧航路で運航していた「なのつ」(「まりも」から改称)を使用。8348総トンで、トレーラー(12m換算)120台、乗用車150台を積載可能です。敦賀~博多間およそ640kmを19時間で航行。敦賀港から月、水、金、博多港から火・木・土の22時に出発し、翌日17時に目的港へ到着します。

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RORO船「とかち」。2019年7月をめどに敦賀~博多航路へ投入される(画像:近海郵船)。

 近海郵船はさらに、2019年7月を目途に第2船目として「とかち」を投入し、週3便の運航から、日曜除くデイリー運航に移行するとしています。

 同社によると、荷主においても、これまでなかった日本海ルートへの変更や輸送モードの改変が必要で、週3便のあいだは徐々に利用してもらいながらの「助走期間」といった位置づけ。航路の実力が見えるのは、夏のデイリー運航化以後になると見込んでいるそうです。「営業的には、産まれたての未熟な航路ですので、お客様や両港の地元の皆様に色々教えて頂きながら、社員全員で大切に育てていきたいです」と話します。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. この航路が無かったとは意外だな
    九越フェリーが廃止されて幾年か?