能登半島に残る「線路を走る郵便局」を訪ねてみた 鉄道の郵便車、将来復活するか
かつて全国各地の鉄道路線を走り抜けた郵便車。郵便物を運ぶだけでなく、車内ではある作業が行われていました。飛行機やトラック輸送網の発達に伴い消滅した郵便車の保存車両を、能登半島のローカル駅で見てきました。
能登半島のローカル駅で保存
旅客列車を使って旅客と貨物を一緒に運ぶ「貨客混載輸送」が、全国で広がりを見せています。これまで混載する貨物は、宅配業者の荷物が中心でしたが、明知鉄道(岐阜県)では2019年3月から旅客列車で郵便物を運ぶ取り組みが始まりました。
旅客列車を使った郵便輸送は、これが初めてではありません。かつては郵便物を運ぶための専用車両(郵便車)があり、旅客列車などに連結されて全国各地の鉄道路線を走っていました。いまでは線路の上を走る郵便車の姿を見ることはできませんが、能登半島を走る、のと鉄道の能登中島駅(石川県七尾市)には、かつての郵便車が保存されています。2019年3月26日(火)、同駅を訪ねました。
JR七尾線の特急列車の終点、和倉温泉駅(七尾市)からのと鉄道の普通列車に乗車。3つ目の能登中島駅で下車すると、ホーム前方の脇に青色の車体が見えました。側面中央の下には「オユ10 2565」の文字が。全国各地の国鉄線を走ったオユ10形郵便客車です。「オ」は車両の重量(32.5t以上、37.5t未満)を、「ユ」は郵便車を表しています。
郵便車は旅客列車に使われている客車や電車、ディーゼルカーと同じ形に見えますが、窓は非常に少なく、通常の旅客車両とは異なる独特なデザインです。一部の窓には赤色の郵便記号(〒)が取り付けられていて、郵便車であることを示していました。
能登中島駅のオユ10形は、車内も入れます。平日は9時から15時まで、駅員に申し出れば誰でも見学が可能。土休日は、のと鉄道の観光列車「のと里山里海号」を利用すれば見学できます(穴水14時30分発「のと里山里海4号」を除く)。ほかにオユ10形の見学を含んだバスツアーもあります。
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