リニア新幹線の模擬授業「リニア・鉄道館」で体験 学校の先生が「子ども」になりきる

教材の制作に必要なポイントは

 リニア・鉄道館は、新幹線の技術や歴史などを多くの人に知ってもらえるよう、新幹線を題材にした学校教育用の教材データを同館のウェブサイトで公開。TOSSに参加する教育関係者が制作したもので、誰でもダウンロードできます。

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リニア・鉄道館のウェブサイトで公開されている教材(草町義和撮影)。

 これまで公開してきた教材は、小学生向けのものが中心でしたが、2019年4月1日(月)に公開した教材3点のうち「リニア中央新幹線が果たす役割」は、小学生(中・高学年)向けと中学生向けを提供。「超電導リニアのひみつ」と「リニア中央新幹線から学ぶ環境保全」は、中学生向けのみ提供しています。

 谷さんは「リニア新幹線は中学生向きの素材なんですね。超電導というのは小学生には分かりにくい。電磁石は小学校の高学年で登場しますが、電気抵抗と言われてもハードルが高すぎる」とし、新たに公開した教材は中学生向けを中心に制作したと話しました。

 また、教材は「できるだけビジュアルにしたい」「文字だけのページは作らないようにしたい」「1ページのなかに入れる情報の量を絞りたい」の3点を意識して制作しているといいます。

「企業側はたくさんの情報をユーザーに知ってほしいと考えますが、(授業という)限られた時間のなかで情報を詰め込みすぎると、子どもたちはそれだけで嫌になってしまう。パッと見たときに、若干すっきり目の紙面がいいのです。情報をどの程度盛り込むか、JR東海と何度も議論しました」(谷さん)

 リニア・鉄道館は、教材の拡充とあわせて「鉄道教材発送サービス」も開始。同館ウェブサイトの専用ページに必要事項を記入して申し込むと、生徒用300部と指導用10部を上限に、印刷された教材が無料で送られてきます。JR東海はこうした取り組みにより、同館で公開している教材が学校教育の場で活用されるようにすることを目指しています。

【了】

【写真】「無人」のリニア・鉄道館も見学!

Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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