工事現場も下水道も「観光資源」 国ぐるみで推進する「インフラ観光」その魅力とは?
下水道も観光資源に?
「インフラツーリズム」について、国土交通省総合政策局に聞きました。
――「インフラツーリズム」は、いつ頃から活発になってきたのでしょうか?
政府が「インフラツーリズム」の推進を初めて打ち出したのは、2013(平成25)年に観光庁が発表した「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」です。これ以降、施設管理者と民間の旅行会社などが調整したツアーなどが増加しており、観光資源としての認知度が上がってきています。
――どのような施設が人気なのでしょうか?
埼玉県春日部市にある「首都圏外郭放水路」(江戸川周辺の氾濫を防ぐための導水用地下トンネル。巨大なコンクリート柱が林立する地下空間が「地下神殿」などと呼ばれる)などは、外国人観光客も多く、マスコミにもしばしば取り上げられています。こうした状況を受け、見学に積極的な施設管理者も増えてきました。
建設中の施設としては、群馬県の「八ッ場(やんば)ダム」でしょう。10くらいの見学ツアーが設けられているほか、工事現場をライトアップした夜間の見学も行われています。実際に使われているものでは、神奈川県の宮ヶ瀬ダムが「観光放流」を定期的に行っており、2017年には10万人以上が訪れました。
――下水道施設などは、本当に観光資源になり得るのでしょうか?
それも「見せ方」次第です。東京都では、歴史的な下水処理施設などの見学ツアーを実施して人気だと聞きます。ポイントはその施設によって異なり、SNSでの拡散を見越した「いい写真が撮れる」ことをアピールするところもあれば、「ふだん入れないところに入れる」という特別感をアピールするところもあります。
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国土交通省総合政策局によると、「インフラを目当てに来た人は、その地域に滞在する時間が増えますので、地方への経済効果は間違いなく大きいでしょう」とのこと。ただ、人気の施設は首都圏に比較的近いところが多く、これを全国に広めていくのが現在の課題だそうです。
「『2020年までに(全国のインフラへの)来訪者数100万人』というのは、ひとつの目標ではありますが、それ単体で達成することに意義はありません」(国土交通省総合政策局)
インフラをいかに活用し、来訪者に地域へ繰り出してもらうかが重要だと話します。
【了】
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