知られざる「南新宿」の世界 小田急で2番目に乗降客が少ない駅、周りは何がある?

小田急電鉄で乗降客数最多の駅は新宿で1日約50万人ですが、すぐ隣の南新宿はたった4000人ほどです。店舗や住宅、予備校や専門学校、病院などに囲まれているのに、なぜここまで利用者が少ないのか、実施に歩いて理由を探りました。

南新宿は、埋もれていてもやっぱり「新宿」!

 南新宿駅の利用者が少ない理由は、つまるところ、利便性の高い駅が周囲に多く存在しているがゆえに、都会のど真ん中にありながら埋もれてしまっている、ということなのでしょう。前述のとおり南新宿駅に停車するのは、小田急小田原線の各駅停車のみです。一方で新宿駅や代々木駅は多くの鉄道路線が乗り入れており、使い勝手が抜群です。実際、歩き回るなかで見てきた代々木ゼミナールや山野美容専門学校は、ウェブサイトの交通案内で鉄道のアクセス方法を複数載せていますが、両サイトとも「南新宿から」を最後に表記していました。山野美容専門学校については、「南新宿駅徒歩1分」であるにもかかわらずです。

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代々木商店街(2019年4月、蜂谷あす美撮影)。
代々木駅西口(2019年4月、蜂谷あす美撮影)。
路地を通って南新宿駅に戻る(2019年4月、蜂谷あす美撮影)。

 南新宿駅までの帰路は、先ほどの代々木商店街ではなく、別の路地を通ってみることにしました。通りには、クリーニング店や街の電器店、あるいは定食屋など、普段使いの店や戸建て住宅、アパートなどが立ち並ぶ一方、視線を上にやれば遠くに高層ビルが控えているという、なかなか見られない光景で、まさに都会のエアポケットと呼ぶにふさわしいエリアでした。

 こうして探訪の余韻に浸りつつ、南新宿駅まで戻ってきたところで、最後に現実を見せつけられました。それは、駅前の月極駐車場にあった「月額51,429円」という表示。思わず「わっ、高い」と独り言を発してしまいました。都会のエアポケットといいつつも、ここはまごうことなき「新宿界隈」でした。

【了】

【写真】知られざる?南新宿界隈

Writer:

1988年、福井県出身。慶應義塾大学商学部卒業。出版社勤務を経て現在に至る。2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅と牛乳を中心とした随筆、紀行文で活躍。神奈川県在住。

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コメント

2件のコメント

  1. わが最寄り駅「南新宿」を取り上げていただき感激しております。

    駅のすぐ前に住んで65年。小田急線下から2番目ということは10年ほど前に知りました。足柄の手前の栢山、富水などより少ないなんて。

    小田急本社も移転して、いよいよ存在意義が薄れていますが廃止されるようすもなくホッとしております。エレベーターも両ホームそれぞれの2基つけていただきました。

    これをきっかけに、トラフィックニュースを読んでみようとおもいます。

  2. 小田急沿線住民ですが、代々木駅前の勤務先に向かうために利用していたことがあります。

    往路は代々木上原で各駅停車に乗り換えて南新宿駅。復路は新宿駅利用でした(代々木駅から新宿駅は歩いて数分の距離)。

    ということで、南新宿駅は「小田急代々木」なんです。