東海道新幹線「都心」初の大規模異常時訓練 東京~品川間、外国人への案内も
東京都心では初めてとなる、東海道新幹線の「異常時対応訓練」が東京~品川間で実施。東京オリンピック・パラリンピックを控えた今回は、外国語による案内の訓練も盛り込まれ、英語で運行状況を案内する乗務員や駅員の姿が見られました。
「外国人旅行者」も訓練に参加
JR東海が、2019年5月23日(木)深夜から翌24日(金)未明にかけ、東海道新幹線の東京~品川間で「異常時対応訓練」を実施。その一部を報道陣に公開しました。
東海道新幹線では災害などを想定し、営業用の線路と車両を使った大規模な異常時対応訓練が毎年1回のペースで行われています。JR東海によると、これまで熱海~三島間などで行われていますが、東京都心での大規模訓練は初めてです。
今回の訓練は、東京駅を発車した下り列車が品川駅のホームに入る直前、台車の異常を検知。列車を停止させて点検したところ、異常な臭いがしたため運転を中止し、乗客を品川駅まで徒歩で避難させたという想定で行われました。
最終列車が発車して日付が変わった5月24日0時ちょうど、「のぞみ901号」という仮想の列車名が付けられた訓練列車が東京駅を発車。5分後に急ブレーキがかかって停止し、車掌が列車から降りて台車を点検しました。
車内では乗客に情報提供を実施。東京オリンピック・パラリンピック(2020年)など大勢の外国人が訪日するイベントが控えていることから、外国人旅行者対応の訓練も初めて行われました。
訓練には「外国人旅行者」役の男女ふたりが参加し、パーサーが英語で運行状況を案内。座席背面テーブルのQRコードをスマートフォンで読み取れば多言語対応の運行情報ウェブサイトにアクセスできることも案内していました。また、車内放送や文字による案内装置でも、日本語と英語の両方で運行状況などが流され、ツイッターを使って運行状況を提供する訓練も行われました。
その後、乗客役が非常用はしごを使って線路に降り、約300m先にある品川駅のホームまで徒歩で移動。同駅の駅員は小型の翻訳機を用いて、きっぷの払い戻しなどを外国人旅行者役に案内していました。
JR東海 新幹線鉄道事業本部の辻村 厚運輸営業部長は「今回の訓練は外国人が2名でしたが、実際は大勢の外国人客に対応しなければなりません」と話し、スマホの翻訳アプリを活用するなどして外国語対応を強化する考えを示しました。
【了】
Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)
鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。
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