田んぼのど真んなか「ラウンドアバウト」なぜ? 見通しのよい交差点を改築する利点は

信号のない円形の交差点「ラウンドアバウト」が増加しています。導入のメリットは様々ですが、見通しのよい田園地帯の十字路を、わざわざこれに改築して導入するケースもあります。

事故多発でも、信号が設置できない交差点も

 日本語で「環状交差点」と訳される信号のない円形の交差点「ラウンドアバウト」。これが、田園地帯のど真んなかの交差点に導入されるケースがあります。なぜでしょうか。

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静岡県焼津市の市道交差点に導入されたラウンドアバウト。周囲は田園地帯で、交差点の見通しもよい(画像:焼津市)。

 ラウンドアバウトは、2014年9月の道路交通法改正でその定義と交通方法が定められ、2018年末時点で全国およそ80か所まで増えています。交差点の中心に「中央島」と呼ばれるスペースがあり、その外周を取り囲むドーナツ型の通行路「環道」から放射状に道路が伸びる、というのが基本的な構造です。通行には次のようなルールがあります。

・環道へは左折で進入、環道からは左折で流出
・環道内は時計回り(右回り)で進む
・環道内を走行している車が優先
・環道へは徐行で進入(原則、一時停止不要)

 ラウンドアバウトが置かれた十字路の場合、左折方向に進む際は環道に入って4分の1周、直進方向に進む際は半周、右折方向に進む際は4分の3周するような形で通行します。導入のメリットとしては、信号がないことから維持管理の面でも経済的、災害時にも対応できるほか、いくつもの道路が交わる交差点も制御しやすいといった点が挙げられます。

 冒頭に触れたように、このラウンドアバウトを見通しのよいシンプルな交差点にあえて導入するケースもあります。そのねらいは事故の防止です。

 2018年6月、愛知県愛西市に導入されたラウンドアバウトは、田園地帯のただ中で、2本の県道がまっすぐ交わる信号のない十字路を改築した事例です。見通しがよいとはいえ、この交差点ではクルマどうしによる出会い頭の衝突事故が、年間で4~5件起こっていたといいます。

「信号の導入も検討しましたが、交差点から100m以内の位置に信号交差点があり、間隔が近すぎるため車両が詰まる恐れがあることから、ラウンドアバウトを導入しました」(愛知県建設部)

 ラウンドアバウト化により、スピード抑制の効果も期待できるとのことですが、その大きな狙いは前述のように事故防止で、さらにいえば、重大事故につながりかねない「コリジョンコース現象」の防止にあるといいます。

【画像】ラウンドアバウトの通行方法 自転車・歩行者は?

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