米英艦艇を次々粉砕! フランス製「エグゾセ」が空対艦ミサイルの代名詞となったワケ
「エグゾセ」ミサイルは中東でも
世界で最も強力な海軍のひとつであるイギリスを相手に実績をあげ、一躍有名になった「エグゾセ」は、各国から続々とオーダーが入り、1982年から1996(平成8)年の間だけでも1400発が生産され世界中に輸出されました。
そして「エグゾセ」を購入した国のひとつにイラクがありました。イラクは1980(昭和55)年から隣国イランと大規模な戦争状態(「イラン・イラク戦争」)にあり、特にペルシャ湾を航行する民間船に対して互いに攻撃しあう、別名「タンカー戦争」とも呼ばれた戦いが発生しています。
イラクは戦争中、フランスから戦闘機「ミラージュF1」、攻撃機「シュペルエタンダール」を導入し、同時に「エグゾセ」を大量に購入します。これらフランス製兵器は「タンカー戦争」に投入され、イラク空軍の両機から発射された「エグゾセ」は100発以上に達しました。
そして1987年5月17日、イラクにとって寝耳に水の事件が発生します。「ミラージュF1」から発射された2発の「エグゾセ」が、当時、イラクを支援していたアメリカの、オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート「スターク」に命中しこれを大破させたのです。
これは目標の識別を十分に行わなかったがゆえに発生した誤射でしたが、誤射の原因は「エグゾセ」に関係なく、「エグゾセ」は正常に動作し「スターク」を大破させたのですから、その評判はさらに高まりました。
「エグゾセ」は性能向上を重ねながらその後も生産が続き、2001(平成13)年までにフランスを含む32か国に対して3200発を販売します。潜水艦発射型SM39、地上/艦艇発射型MM38/40などの派生型を含め、2019年現在その総数は4000を超えているともされます。
【了】
「のりものニュース」のネタじゃない。ミサイルには乗れない。