自動で信号右折、路上駐車回避! 小田急「自動運転バス」江の島で実験 内容より高度に

小田急グループとソフトバンクグループが、神奈川県藤沢市の江の島エリアで自動運転バスの実証実験を再び実施。信号機との連動や、路上駐車の自動回避など、前回よりも高度な自動運転技術の検証を行います。

走行距離は前回の倍に

江の島で再び行われた自動運転バスの実証実験(31秒)。

 小田急電鉄と同社グループの江ノ島電鉄、ソフトバンクグループのSBドライブは2019年8月21日(水)、神奈川県藤沢市内の江の島エリアで自動運転バスの実証実験を報道陣に公開しました。小田急と神奈川県が連携して進めている、実用化に向けた取り組みの一環。江の島での実証実験は2018年に続き2度目です。

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実証実験で使われた自動運転バス(2019年8月21日、草町義和撮影)。

 記者(草町義和:鉄道ライター)が乗り込んだ自動運転バスは午前11時25分ごろ、県立湘南海岸公園の中部バス駐車場を出発。バスがカーブに差し掛かると、ハンドルもカーブに合わせて自動的に回りました。ただし運転手は席に座っており、手をハンドルから少しだけ離した状態。何かトラブルがあったときには、すぐにハンドルを握れるようにしていました。

 前回は江ノ島海岸バス停から神奈川県道305号(江の島大橋)を通って江の島に入り、小田急ヨットクラブまでの区間(1往復で約2km)でしたが、今回は中部バス駐車場~湘南桟橋バス停間(同約4km)で、走行距離が2倍になりました。

 また、信号機に設置したセンサーと連動して対向車を確認しながら右折し、路上駐車の自動車も自動的に回避するなど、前回より高度に更新された技術の検証も実施。車内の客の動きも監視し、走行中に立ち上がると注意を促す自動アナウンスが流れました。地上からの遠隔監視や、運転手の代わりに車掌が乗務することを想定したサービスの検証も実施。車掌役のスタッフがベビーカーの乗り降りを補助していました。

 今回の実証実験では、自動運転が、緊急時には運転手の手動操作に切り替わる「レベル3」で行われました。神奈川県は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時には緊急時の対応も含めて自動化する「レベル4」での運行を目指したいとしています。

 SBドライブの佐治友基社長によると、一般車を排除した専用道を使うバス高速輸送システム(BRT)は自動運転バスを比較的導入しやすいとし、「鉄道系の会社さんから、不採算の鉄道路線を自動運転バスのBRTに置き換えたいという要望や問い合わせをいただいてます」と話しました。

 今回の実証実験は8月30日(金)までの平日に行われる予定。26日(月)以降は事前に予約した一般の人の試乗も行われます。

【了】

【地図】自動運転バスの運行ルート

Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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