都内最古の駅遺構「昌平橋駅」と「万世橋駅」 関東大震災で焼失を免れた知られざる駅
関東大震災で奇跡的に焼失を免れた駅のひとつに、「昌平橋駅」(現在のJR中央線)があります。駅として活躍した期間はわずか4年でしたが、遺構が飲食店となった現在も、「鉄道史の証人」としてその外観を残しています。
中央線御茶ノ水駅の隣にあった、知られざる駅
JR中央線で神田から御茶ノ水方面に向かうと、途中右手車窓に廃止された短いホームのようなものが現れます。そのホームの真ん中付近には瀟洒(しょうしゃ)なガラス張りの建物があり、電車はそのすぐ横を通り過ぎていきます。
この建物は、旧万世橋駅のホーム上に造られたカフェ「PLATINUM FISH マーチエキュート神田万世橋店」。かつてはこの地点に万世橋駅がありました。東京駅の赤れんが駅舎を小ぶりにしたような立派な駅舎もありましたが、いまから96年前(1923<大正12>年)の9月1日に起きた関東大震災の際、内部が全焼してしまいました。
このあたりの中央線は、れんが造りの高架橋上を走っています。高架橋の下には2013(平成25)年、「マーチエキュート神田万世橋」という商業施設ができたので、昔ここに駅があったことは、鉄道好き以外でも知る人が増えてきたようです。
今回注目したいのは、この旧万世橋駅から300メートルほど御茶ノ水駅寄りにあった昌平橋駅です。こちらはほとんど知られていませんし、現地に案内板もありません。駅だった部分の高架下は後述するように4軒の飲食店となっていて、食事をしながら往時をしのべるのが嬉しい点です。
万世橋駅の写真は裏焼きでは?