世界で最も醜い航空機 フェアリー「ガネット」 なぜこんな外見に…そのワケとは

醜い外見は性能を満たすためのデザイン

 こうして、フェアリー社が開発した空母搭載用の対潜哨戒機は「ガネット」と名付けられ、1953(昭和28)年から量産が開始されましたが、その外観は非常に独創的なものでした。

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空母艦上で主翼を折り畳んだ状態の「ガネット」対潜哨戒機(画像:イギリス海軍)。

 まず、機体サイズは空母のエレベーターサイズに収まるように全長、全幅ともに制限されました。その一方で、操縦性をよくするために垂直尾翼は大きくとられ、主翼は薄く伸ばした「W」字、いわゆる逆ガル翼とよばれる形状をしていたほか、翼面積とコンパクト性を両立するため、「Z」字型に折り畳む構造を採用していました。

 機首のプロペラは2重反転式で、その直後の胴体内にターボプロップエンジンを搭載しましたが、パイロットの視界を確保するために短鼻とし、エンジン部分の上にコクピットを設置、さらに海軍の要求で魚雷や爆雷などの兵装を機内収容できるよう爆弾槽を機体下部に設けた結果、縦に長い胴体形状となりました。

 また、同機は対潜哨戒型のMk.1と、早期警戒型のMk.3の2タイプが生産されましたが、前者は操縦士の後方に哨戒士2名が乗り込みます。この2名は、各種対潜機器を操作するとともに周囲を目視で偵察警戒するため、機体下部を覗き込みやすいよう、キャノピー形状はバブルウインドウと呼ばれるふくらんだ形状をしており、さながら機体背部にふたつのコブがあるようでした。

 後者の早期警戒型は、このコブのようなキャノピーこそありませんでしたが、機体下部には大きなお椀型のレーダードームを装備したため、腹がふくれたような形状をしていました。

 こんな外観を有していたからこそ、母国イギリス人含めて「世界で最も醜い機体」と呼んだのです。

【写真】下っ腹が大きく出たシシャモみたいな「ガネット」

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コメント

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2件のコメント

  1. 紅茶キマってんなぁ

  2. 工業製品の外観デザインとしては ほんま 不細工ですよね(-_-;) しかし 嫌いではないです 模型 作ってみたいですね(^ω^)