三菱の次期装輪装甲車「MAV」意外な死角 国内防衛産業のため「国産回避」の理屈とは
陸上自衛隊の次期装輪装甲車候補のひとつに、三菱重工「MAV」が挙げられていますが、防衛装備庁は外国製の2車種も同時に検討しています。性能的にも問題なさそうな国産装備品を差し置き、あえて外国製にする理由はあるのでしょうか。
三菱重工が次期装輪装甲車の試作車両「MAV」を出展
三菱重工業が2019年11月18日(月)から20日(水)まで、千葉市の幕張メッセで開催された防衛総合イベント「DSEI JAPAN 2019」に、同社が自社資金で開発を進めている8輪駆動の装輪装甲車「MAV(Mitsubishi Armored Vehicle)」の試作車両を出展しました。
陸上自衛隊の主力装輪装甲車である96式装輪装甲車は、1996(平成8)年の配備開始から20年以上が経過しており、現在では防御力や車内スペースの広さなどの面で、やや見劣りする感があることは否めません。
このため防衛省は2013(平成25)年12月に発表した中期防衛力整備計画で、96式装輪装甲車を後継する「装輪装甲車(改)」を導入する方針を打ち出し、三菱重工業と小松製作所からの提案を審査した結果、小松製作所案を採用。防衛装備庁は2017年1月に装輪装甲車(改)を試作するところまで駒を進めていました。
しかしそれから約1年後の2017年12月、防衛装備庁は防弾板の性能不足などを理由に、装輪装甲車(改)の開発期間を延長すると発表。それから約7か月後の2018年7月に、これ以上、開発を続けても防弾板などの不具合の改善の見込みがなく、また改善を続けた場合、陸上自衛隊が要求していた車体の重量や目標としていた価格を充たせないとの理由で、防衛装備庁は装輪装甲車(改)の開発を中止すると発表します。96式装輪装甲車を後継する装輪装甲車の導入計画は一旦、白紙に戻され、「次期装輪装甲車」として仕切りなおされることとなりました。
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