三菱の次期装輪装甲車「MAV」意外な死角 国内防衛産業のため「国産回避」の理屈とは

陸上自衛隊の次期装輪装甲車候補のひとつに、三菱重工「MAV」が挙げられていますが、防衛装備庁は外国製の2車種も同時に検討しています。性能的にも問題なさそうな国産装備品を差し置き、あえて外国製にする理由はあるのでしょうか。

選定に敗れた理由と改めて採用たりうるワケ

 装輪装甲車(改)の選定で敗れた三菱重工業は、輸出も視野に入れながら自社資金で装輪装甲車の開発を進めており、2014年6月にフランスのパリで開催された防衛装備展示会「ユーロサトリ」で、MAVの開発構想を発表していました。

 96式装輪装甲車の全長が6.84m、全幅が2.48m、全高が1.85m、重量が14.5tであるのに対し、MAVは全長8m、全幅2.98m、全高2.2m、重量18tと、ひと回り大きなサイズとなっています。「DSEI JAPAN」では車内の映像も公開されていましたが、それを見る限り、96式装輪装甲車よりも車内のスペースはかなり大きくなっているように筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は感じました。

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「MAV」に搭載されるディーゼルエンジン(竹内 修撮影)。

 MAVは、必要に応じて車体と車体底部に増加装甲を装着することで、防御力をさらに強化することができます。また、隊員が搭乗するスペースの座席には、地雷などの爆発によって車体底部から伝わる衝撃を緩和する効果を持つ「フローティング・シート」も採用されており、欧米諸国の装輪装甲車に見劣りしない防御力も備えています。

 三菱重工業は、陸上自衛隊が導入を進めている「16式機動戦闘車」の開発、生産元で、MAVはその技術を応用して開発されています。MAVが陸上自衛隊に採用されれば、量産車は16式機動戦闘車と80%以上、部品の共通性を持たせられると三菱重工業は述べており、部品の共通化による運用コストの低減と、補給の効率性向上が期待できます。

 MAVがかつて、装輪装甲車(改)の選定で敗れた理由のひとつは、車体の幅が道路交通法の車幅制限(2.5m)を超える2.98mに達していたことにありますが、MAVと同じ車幅の16式機動戦闘車は道路管理者への通知を行なった上で公道を自走しており、自走による問題も発生していません。このため防衛装備庁は2019年9月10日に、次期装輪装甲車の試験用車両として、MAVをベースとする「機動装甲車」を導入すると発表しています。

【写真】三菱「MAV」のライバルのひとつ フィンランド製装輪装甲車「AMV XP」

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