名鉄特急「ミュージックホーン」の魅力 「パノラマカー」から半世紀以上 なぜ浸透?
ミュージックホーン禁止の駅?
そんな名鉄で、ミュージックホーンの吹鳴が禁止されているエリアがいくつかあります。代表的な駅のひとつとして、同社のターミナルである名鉄名古屋駅が挙げられます。
以前は特急が入線するたびにホーンが大音量で鳴らされていました。しかし、あるときから「駅構内放送が聞こえづらい」との話が上がり、ホーンの吹鳴が禁止されていったのです。これを惜しむファンは少なくありませんでしたが、現在は駅手前のトンネルまで吹鳴可能となっています。また、豊橋駅手前の名鉄とJR飯田線共用区間でも禁止されています。
競馬場でアレンジ版を聞ける
中京競馬場(愛知県豊明市)で毎年開催される「名鉄杯」では、世にも珍しいミュージックホーンをアレンジしたファンファーレが生演奏されることでも有名です。しかも演奏するのは名鉄ブラスバンド部というおまけ付き。ここまでの広がりをみせているあたり、長きにわたり愛されてきたことが分かります。
また競馬開催時には、通常停車しない特急系統が最寄りの中京競馬場前駅(名古屋市緑区)に多く臨時停車し、ミュージックホーンを聞ける確率が大きく上がります。ちなみに中京競馬場内にはかつて利用されていたパノラマカーが3両保存されており、車内や運転台に入れます。
【了】
Writer: 西上いつき(鉄道アナリスト・IY Railroad Consulting代表)
大阪府出身。大学卒業後、名古屋鉄道にて運転士・指令員として鉄道運行に携わる。退職後、シンガポールの外資系企業にて国際ビジネスに従事。帰国後は東京を拠点として活動し2019年にIY Railroad Consulting設立、コンサルティング・セミナー・海外向け鉄道関連事業等を行う。東京交通短期大学・特別講師。著書に『電車を運転する技術』。
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