名古屋港の「ローカル線」名鉄築港線に乗る 日中の運行本数はゼロでも重要路線
名古屋と岐阜や豊橋を結ぶ路線を運営する名古屋鉄道(名鉄)は、名古屋港に延びる全長わずか1.5kmの「ローカル線」も運営。工場で働く人々の通勤路線ですが、貨物線と直角に交差してリニアの廃線跡も見られる、ユニークな路線です。
貨物線の線路と平面交差
貨物の取扱量が日本の港湾で最も多い名古屋港。港湾部の工場や倉庫に物資を運ぶ貨物線のほか、名古屋臨海高速鉄道あおなみ線や名古屋市営地下鉄名港線、そして名古屋鉄道(名鉄)が運営する築港線などの旅客路線も多数乗り入れています。
しかし、あおなみ線や名港線は日中でも旅客列車が10~15分間隔で運行されているのに対し、名鉄築港線は1日の旅客列車の運行本数がわずか20往復(土曜12往復、休日8往復)。しかも運行時間が朝夕に集中していて、昼間の9時台から15時台は貨物列車も含め、列車が1本も走っていません。
名鉄築港線は、名古屋の中心部と中部空港方面を結ぶ常滑線の大江駅(名古屋市南区)と、名古屋港の東側にある六号地ふ頭内の東名古屋港駅(同・港区)を結ぶ路線です。2019年7月5日(金)の夕方、この路線に乗ってみようと、名鉄名古屋駅から常滑線方面に向かう急行列車に乗車。大江駅で下車すると、常滑線のホームから線路を数本挟んで少し離れたところに、築港線のホームが見えました。
18時12分、東名古屋港駅からやってきた大江行きの普通列車が入線。これが折り返し東名古屋港行き普通列車になります。車体の側面や先頭には列車の種別と行き先の表示装置があり、種別は「普通」と表示されていますが、行き先は黒い空欄。その代わり、「大江←→東名古屋港」と書かれた大きな板が、外から見えるように先頭の運転室に置かれていました。
18時20分に発車すると、すぐに右へカーブして単線の線路を進んでいきます。列車は4両編成ですが、客は1両につき2~3人ほど。人口が少ない山間部を走るローカル線のようです。しばらくすると、目の前に漢字の「井」のような形を線路が。ふたつの線路が直角に交差しています。
名鉄築港線と交差した線路は名古屋臨海鉄道の東築線。築港線の南側にある東港駅と北側の名電築港駅を結ぶ貨物線です。ふたつの路線が平面で直角交差するのは非常に珍しく、日本ではほかに伊予鉄道(愛媛県)や、とさでん交通(高知県)などでしか見られません。
大手なのに票券閉そく式やってるんだからそのくらいちゃんと書けや…