「空中空母」搭載機なら脚などいらぬ! 割り切りすぎた戦闘機「ゴブリン」の挑戦

俗に「ロマン兵器」などと呼ばれる軍事兵器がありますが、「空中空母」もその類かもしれません。これを実現しようとしたアメリカ軍は、本当に「地に足のつかない」戦闘機を作ってしまいました。試作戦闘機「ゴブリン」の顛末を追います。

狭い爆弾倉から発進収容するための工夫

 このパラサイトファイター構想は、第2次世界大戦の終結後に、より航続距離の長いB-36「ピースメーカー」戦略爆撃機が登場したことで、具体化しました。

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収容テストでの翼を折り畳んだ状態のXF-85。爆弾倉を模したところからアームが伸びている(画像:アメリカ空軍)。

 B-36爆撃機は、終戦直後の1946(昭和21)年8月8日に初飛行しましたが、航続距離が1万3000kmとケタ違いに長く、護衛機として同行可能な戦闘機など皆無でした。そこでB-36の爆弾倉に搭載し、敵地上空で空中発進する護衛戦闘機として作られたのが、マクドネル製のXF-85「ゴブリン」だったのです。

 XF-85のいちばんの特徴は、その小ささでした。ターボジェットエンジン単発のジェット戦闘機でしたが、B-36爆撃機の爆弾倉に収まるようサイズは制限され、全長4.52m、全幅6.43m、全高2.51m、最大離昇重量は2540kgと極小サイズで、見た目は樽に翼とコクピットを付けたような外観でした。そのコクピット前方の機首上面には、爆弾倉から発進・収容するための引き込み式フックが取り付けられています。武装は12.7mm重機関銃を6丁装備しました。

 XF-85は、1946(昭和21)年6月に実物大モックアップが完成、1947(昭和22)年2月に試作機2機が発注されました。同年9月にアメリカ陸軍から分離独立する形でアメリカ空軍が発足すると、空軍が「パラサイトファイター」計画を引き継ぎます。そして1948(昭和23)年8月23日にB-29爆撃機からの初飛行に成功しましたが、母機への帰還収容に失敗し、不時着しました。

 10月14日、2度目の飛行で母機への帰還に成功しましたが、その後も帰還収容を確実に成功させるには至りません。また、機体形状から飛行安定性が悪く、戦闘機としての性能も低いものでした。そのため最終的に開発は取り止めとなり、こうして「パラサイトファイター」計画は1949(昭和24)年に中止されました。

【写真】同行できる護衛機がない! 1万km以上飛行可能なB-36爆撃機

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