「潜水艦母艦」て何? 日本もかつて運用 航空母艦にもつながる「母艦」が持つ意味とは

海自は母艦機能よりも救難機能を重視

 海上自衛隊が過去に運用していたなかに潜水艦救難母艦「ちよだ」という艦がありますが、こちらは「救難」という言葉が入っているように、潜水艦の救難任務も担っていました。

「ちよだ」は船体中央に搭載した深海救難艇(DSRV)での救難任務以外に、潜水艦への補給用として魚雷やミサイル、燃料、食料、真水を搭載でき、さらに潜水艦への電力供給や潜水艦乗組員80名分(約1隻分)の休養設備を有していました。

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海上自衛隊で唯一、母艦機能もあわせ持っていた潜水艦救難母艦「ちよだ」(画像:海上自衛隊)。

 潜水艦母艦としての機能も有していたからこそ、「ちよだ」は潜水艦救難母艦と呼ばれたのですが、海上自衛隊の方針で、その後建造された同種の艦は、母艦機能をなくし、より救難機能を充実させた内容になったことから、潜水艦救難母艦ではなく「潜水艦救難艦」と名称を改めています。

 一方、アメリカ海軍は、攻撃型原子力潜水艦(攻撃原潜)と戦略ミサイル搭載原子力潜水艦(戦略ミサイル原潜)を合計で75隻、保有しているため、補給艦的存在の「潜水艦母艦」と、救難艦の「潜水艦救難艦」をあえて別々に保有しています。

 航空母艦(空母)や掃海母艦の「母艦」という語句にも同じ意味があります。前者は航空機の補給や整備、パイロットの交代休養、後者は掃海艇の補給や整備、掃海作業員の交代休養にあたるからこそ、「母艦」と付いています。

 ちなみに民間船舶である捕鯨母船の「母船」も同じ意味あいです。こちらは捕鯨船団の指揮や補給、乗組員の各種支援にあたる船です。

【了】

【写真】潜水母艦から航空母艦に姿を変えた旧日本海軍の「大鯨」

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

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4件のコメント

  1. 1ページ目の写真が違うくない?

    • ご指摘ありがとうございます。
      訂正いたしました。

  2. 潜水艦母艦ではなく潜水母艦と呼ぶのでは!?

  3. イージス艦みょうこう女性初の艦長 大谷三穂1等海佐を応援します。
    陸海空自衛隊 隊員の皆様ご苦労様です。
    これからも日本国、国民の為に頑張って下さい???
    日本国憲法に早期、自衛隊明記を望み支持します?⤴️⤴️