戦場で漏れそうになったら…戦車兵のトイレ事情 空薬きょう使うことも 陸自の場合は?

自衛隊の戦車乗員はいつトイレを済ませているのか?

 冷静に考えてみると、戦車にトイレがないというのはかなり大変です。動かしているのが人間であり、そして人間である以上、どうしても用は足さなければなりません。しかしそれが戦闘地域であったら、車外に身を晒して用を足すのはかなりリスクがともなうことでしょう。戦闘地域でないとしても、警戒は怠ることができず、長距離移動の際のトイレ事情は気になるところです。

 この点について、第2次世界大戦におけるドイツ軍の戦車エース、オットー・カリウスは、何日も車内暮らしをしなければならなかったときのトイレ事情を自著などで明かしています。それによると、昼は外で排泄するのは危険なので、大きい方は、ひとりずつ深夜に外で済ませ、小さい方は砲弾の空薬きょうを尿瓶がわりにしていたといいます。

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陸上自衛隊の10式戦車(画像:アメリカ陸軍)。

 では、陸上自衛隊・機甲科の戦車乗員は、任務中のトイレはどうしているのか、陸上幕僚監部の広報担当に聞いてみました。

 それによると、実は公式で「このようにしなければならない!」という明確なルールはなく、関係者のあくまで“一般的な見解”にはなるそうですが、長時間訓練の際は「戦車乗員間で警戒しながら、交代でトイレを行っています。携帯トイレを使用する隊員もいます」とのことでした。これは仮に有事の場合でも変わりがないようで「戦車乗員間で警戒しながら、交代でトイレにいったり、携帯トイレを使用したりすることになると思います」という回答でした。

 明確なルールはありませんが、ひとりずつ交代で用を足すことは、オットー・カリウスの回想にもあるように、安全の確保やリスクの軽減のために重要なようです。

 なお、自衛隊が現在運用している戦車にトイレがつく可能性についても聞いてみましたが、「現在のとことろ、その様なプランはございません」とのことです。

【了】

【写真】これで用は足せる…? 105mm戦車砲弾の空薬莢

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