「大量に建造された現代軍艦」3選 ひたすら30年建造 7年で50隻建造
第2次世界大戦では各国とも軍艦の大量建造を行いましたが、21世紀の現代においても同一艦型の大量建造が行われています。現代軍艦で同型艦が最も多いのはどれか、また1艦種の大量建造をするのはなぜか、その理由を紐解きます。
軍艦における同一タイプ大量建造は調達コスト圧縮のため
自動車や航空機などと違い、船の世界はオーダーメードが基本です。船主(オーナー)の要望に応じた設計をするため、同じような外観や排水量であっても、区画の割り方やエンジン、発電機などの異なっていることが多いです。
しかし軍艦の場合は少々、事情が異なります。軍艦は、建造コストの低減や数をそろえたい時などは、同一設計の艦を大量建造することもあります。そのため第2次世界大戦中には150隻以上も姉妹艦がいるタイプが存在しました。
21世紀の現代軍艦では、ここまで同型艦の多いタイプはありませんが、それでも50隻以上量産されたものがあります。そこで今回は、満載排水量1000トン以上の水上戦闘艦に絞り、2020年現在も使われている艦型の中で生産数ベスト3について見ていきます。
第3位はアメリカのオリバー・ハザード・ペリー級フリゲートです。通称O・H・ペリー級と呼ばれるこの艦型は、1977(昭和52)年から1989(平成元)年までの約12年間で51隻建造されました。
「フリゲート」とは、いわば対潜、対空、船団護衛などに用いる小型汎用艦のことで、駆逐艦よりも小さく、コルベット(後述)よりも大きなサイズであることが多い艦種です。O・H・ペリー級は全長135.6m(後期型は138.1m)、基準排水量は約3200トン、満載排水量は約4100トンで、乗員は215名です。武装は、76mm単装砲1門、25mm機関砲2門、20mmバルカン砲1門、対空ミサイル発射機1基などで、ヘリコプターを2機搭載しています。
O・H・ペリー級の大量建造は、1970年代に多数残っていた、第2次大戦中や終戦直後に建造された老朽駆逐艦を一新するために実施されたものです。大量調達によるコスト削減を目的に、同一艦種の大量建造を採用しました。
2020年現在O・H・ペリー級は、アメリカ海軍からは退役しましたが、それらを中古で購入し使っている国が6か国ほどあるほか、オーストラリアやスペイン、台湾などはライセンス建造した準同型艦を運用しています。
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