「大量に建造された現代軍艦」3選 ひたすら30年建造 7年で50隻建造
艦隊防空艦から汎用ミサイル駆逐艦への役割変更
第1位はアメリカのアーレイ・バーク級駆逐艦です。いわゆる「イージス艦」と呼ばれる艦隊防空艦のひとつで、1991(平成2)年7月4日に1番艦が就役して以来、改良されながら約30年にわたって同型艦が建造されています。2020年1月末までに67隻就役しており、同月末までに進水し就役を待つものが7隻あります。
さらに建造予定の艦が、起工済みのものを含めて、2020年2月現在で17隻あり、あと少しで100隻の大台に届きそうなほどです。
アーレイ・バーク級は段階的な改良によって、大きくフライトI、フライトII、フライトIIAと3タイプにわけられ、さらに2020年現在、最新型のフライトIIIが建造中です。
そのため、前期型のフライトIおよびIIと、後期型のフライトIIAおよびIIIではヘリコプター用格納庫の有無で全長が違い、前者は153.8m、後者は155.3mです。このほかにも装備の更新によって、満載排水量がフライトIの8850トンから、最新のフライトIIIでは1万トンへと段階的に増えています。また乗員数も、ヘリコプターを2基搭載するようになったことで、前期型では323名なのに対し、後期型では380名です。
武装は、127mm単装砲1門、25mm機関砲2門、20mmバルカン砲1門、各種ミサイルの垂直発射装置(VLS)が前期型で90セル、後期型で96セルなどとなっており、ヘリコプターは後期型のみ2機搭載しています。
なぜ、アメリカがここまでアーレイ・バーク級をそろえたかというと、1990年代に旧式化した50隻以上のミサイル巡洋艦/駆逐艦の更新に迫られたからです。また高性能ながら多用途性に優れていたため、汎用駆逐艦代わりに建造され続けたのも一因です。
ただしイージス艦のため建造コストはその分割高で、最新のフライトIIIで約9億ドル、日本円で約950億円(1ドル105円換算)もします。そのイージス艦を100隻近く建造しようとするアメリカは、やはり軍事大国といえるでしょう。
【了】
Writer: 柘植優介(乗りものライター)
子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。
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