戦果は誤認のおかげ? 時代を先取りしすぎた異色の英製戦闘機「デファイアント」とは

第2次世界大戦初期のイギリスは欧州から追い出され、ついに本土での防空戦をすることになります。「スピットファイア」や「ハリケーン」がひっきりなしに飛び立つなか、旋回機銃が主武装というひときわ奇妙な戦闘機がありました。

単発戦闘機なのに前方に武装を持たない野心作「デファイアント」

 1940(昭和15)年7月、ヨーロッパ大陸から撤退し、本土をドイツ軍の爆撃にさらされたイギリス軍は、その空軍力を結集してドイツ空軍やイタリア空軍を相手に防空戦、いわゆる「バトル・オブ・ブリテン」を繰り広げます。

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1940年8月、「バトル・オブ・ブリテン」に臨むイギリス空軍の「デファイアント」戦闘機(画像:帝国戦争博物館/IWM)。

 この戦いには、当時のイギリス軍戦闘機の代表格ともいえる「スピットファイア」や「ハリケーン」のほかにも、旧式機や従来の戦闘機とは別のアプローチで開発された戦闘機などが配備されました。

 その代表格といえるのがボールトンポール「デファイアント」という戦闘機で、前方に固定機銃を一切持たず、攻撃手段が機体上部の多連装旋回銃塔という、「旋回機銃単発戦闘機」と呼ばれる異色の機体です。

 当時の単発戦闘機というのは、一般的には昼間の戦闘を想定して生産されていて、乗るのはパイロットひとりで、機銃などの武器使用もパイロットが行っていました。しかし、「デファイアント」はパイロットと旋回機銃を操作する射手の2名が乗る単発戦闘機という珍しいものでした。

「デファイアント」は英語で「挑戦的な」という意味を持っていますが、この戦闘機は、その名前の通りイギリス軍が、第2次世界大戦前に考えていた“独自の”空戦理論を基に作られた挑戦的な機体でした。

【写真】遠目には似てる…のか? 普通の単発単座戦闘機「ハリケーン」

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