都バスの気になる終点5選 文字通りだった「荒川土手」 やっと住所ができた終点も

昭和の都電やトロリーバスの名残 歴史ある終点も

 昭和の時代に廃止された都電や、トロリーバス(道路上空の電線から電気を得て走るバスで、無軌条電車とも)に由来するという、歴史ある終点も存在します。

早稲田(東京都新宿区)

●発着するバス
・上58:早稲田~護国寺正門前~根津駅前~上野松坂屋
・上69:小滝橋車庫~早稲田~春日駅前~上野公園
・早77:新宿駅西口~新宿伊勢丹前~高田馬場2丁目~早稲田
・池86出入:渋谷駅東口~早稲田、池袋駅東口~早稲田
・飯64:小滝橋車庫~早稲田~飯田橋駅前~九段下

 早稲田大学の早稲田キャンパス周辺は、より大学構内に近い「早大正門」バス停にも多数のバスが発着していますが、大学の北側を走る新目白通り沿いにあるのが「早稲田」バス停です。都電荒川線の早稲田駅に近く、大学のキャンパスを挟んだ南側に位置する東京メトロ東西線の早稲田駅からは離れた場所です。

 早稲田バス停の前には都営アパートがあり、その1階部分を活用した都営バスの車庫(早稲田自動車営業所)から、上野や池袋、渋谷など多方面にバスが発着しています。もともと、昭和の時代には都電の車庫があった場所で、早稲田自動車営業所は、廃止された都電や都営トロリーバスの代替として設定されたバス路線も受け持っています。

 その車庫の隣は、大型ホテル「リーガロイヤルホテル東京」です。昭和に建てられた都営アパートと車庫、そして平成の高級ホテルと、雰囲気が大きく異なる建造物が並んでいます。

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都営バス早稲田自動車営業所は、都営アパートの1階にある(2020年3月、中島洋平撮影)。

今井(東京都江戸川区)

●発着するバス
・亀26:亀戸駅前~京葉交差点~一之江駅前~今井
・葛西22:一之江駅前~今井~雷~葛西駅前
・新小22:新小岩駅前~今井~古川親水公園~葛西駅前

「今井」は江戸川区内の字名で、住所からその名は失われているものの、新中川が旧江戸川に合流するあたりを指し、旧江戸川を挟んで千葉県市川市(行徳)と接しています。ここ「今井」を経由するバスのうち、葛西22と新小22は路上のバス停に停まりますが、亀戸駅と今井を結ぶ亀26系統は、少し離れた専用の折返所に発着します。これは、同系統の歴史的経緯によるものです。

 亀26系統のルーツは1925(大正14)年、現在の首都高小松川JCT付近と、今井のあいだに開通した私鉄 城東電気軌道で、いまの折返所の位置に、その車庫がありました。第2次世界大戦中、都電へ併合されたのちに廃止され、一部並行する形で上野公園~亀戸駅前~今井間の都営トロリーバスが開通、さらにこれが都営バスに置き換わり、亀戸駅前を境に上26系統と亀26系統とに分割され、現在に至ります。系統番号の「26」は、都電の系統番号がバスに引き継がれました。

 旧城東電気軌道の車庫は、都電、トロリーバス、そして通常のバスの車庫へと移り変わったのち、1980年代に廃止され、1階をバスの折返所とした都営アパートが建てられました。

【了】

【地図・写真】都バスのちょっと気になる5つの終点

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