海上の何でも屋 米海軍「PTボート」とは? ケネディ元大統領も乗った日本陸軍の天敵

第1次世界大戦で戦艦を撃沈するなどして注目された高速魚雷艇は、その後、沿岸部や島しょ間を軽快な速度で航行する船として有効活用されるようになりました。そうした高速魚雷艇のなかで、現在最も有名だと思われるのがPTボートです。

幅広い任務をこなす魚雷を抱えたモーターボート

 第2次世界大戦中、アメリカ軍には偵察、連絡、人員輸送といった幅広い任務をこなす車両、ジープが地上にありました。実は海上でも同様に幅広い仕事をこなした船があるのです。それが高速魚雷艇のPTボートです。第35代アメリカ合衆国大統領であるジョン・F・ケネディが従軍時代に乗っていた船としても知られています。

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WW2期アメリカ海軍の木製高速魚雷艇「PTボート」(画像:アメリカ海軍)。

 そもそも高速魚雷艇とはどういったものかというと、名前のとおり、艦船を攻撃する魚雷を搭載した高速の小船です。第1次世界大戦中に、オーストリア=ハンガリー帝国の戦艦「セント・イシュトヴァーン」をイタリアの高速魚雷艇が撃沈したことをきっかけに、大型艦船の移動が制限される海峡などにおいて、軽量かつ高速でしかも魚雷を発射できる高速魚雷艇は、それら大型の艦船をも沈める力があるとして大きく注目されます。

 欧州では、第1次世界大戦後も高速魚雷艇の開発を進め、イギリス海軍は「MTB」、ドイツ海軍は「Sボート」、イタリア海軍は「MAS」といった高速魚雷艇を配備していました。そして、1930年代頃にはすでに、艦船の攻撃のほかに沿岸防護、偵察などの任務に運用するという試みもなされていました。

 しかし、アメリカ海軍はどうだったかというと、将来的な対日戦に備え、大洋で戦う大型艦船の充実を重視していたため、高速魚雷艇の研究は後回しにされていました。

【写真】ケネディ中尉(当時)が艇長を務めたPTボートとその乗員

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