旧日本陸軍「強襲揚陸艦」秘密兵器にしてた 空母?いえ商船です 特種船丙型 あきつ丸
「餅は餅屋」といいますが、旧海軍などあてにできないといわんばかりに旧陸軍が作ってしまった船「あきつ丸」には当てはまりませんでした。いまでいう強襲揚陸艦そのものの先進的な船ですが、実戦の揚陸作戦への投入は一度きりでした。
陸軍が作ったトップシークレットの「船」
1941(昭和16)年12月16日に竣工した戦艦「大和」は日本海軍のトップシークレットでしたが、約1か月後の1942(昭和17)年1月30日に播磨造船所(現、IHI)にて竣工した船もトップシークレットでした。
その船の姿は全通飛行甲板を持った見まごうこともない「空母」ですが、所有者は民間企業の日本海運で、あくまで商船でした。陸軍が建造費を補助し、戦時には徴用するという建前になっていました。
陸軍がお金を出して作った商船扱いの空母のような船。説明するだけでもややこしいのですが、これが「特種船丙型」と呼ばれる「あきつ丸」です。
日本は島国であり領土には多くの島しょ部があり、陸軍が展開するのに船は必須でした。揚陸作戦には陸軍と海軍の緊密な協力関係が必要ですが、海軍は艦隊決戦に必要な戦闘艦に傾注し、陸軍の輸送や揚陸支援には消極的でした。官僚組織の縦割りと省益優先意識は昔もいまも変わりません。陸軍は自由に使える船が欲しくて、補助金を出し民間企業に船を造らせたのです。
「あきつ丸」は陸軍が揚陸作戦に使いやすいようにアイデアを凝らしました。設計には海軍も助言したとはいうものの、陸軍は造船には門外漢であり、往々にして失敗作になるパターンなのですが、「あきつ丸」はどんな船だったのでしょうか。
民間船のタテマエで軍が徴用して、って大石英司の初期作品でVTOL戦闘機を乗せる艦艇というのがあったな。