その細道行くの!? 東京のバス「狭隘区間」5選 行き違いにクランク 光る運転テク
狭い商店街を「双方向通行」も
駅前の狭隘区間が「双方向通行」というケースもあります。
石神井公園駅南口付近(練馬区)
●経由するおもなバス
・西武バス「荻14」:荻窪駅~上井草駅~石神井公園駅南口
・西武バス/関東バス「荻11」:荻窪駅~井荻駅~石神井公園駅南口
・関東バス「阿50」:阿佐ヶ谷駅~下井草駅~石神井公園駅
西武池袋線の石神井公園駅は、近年の高架化および再開発により、駅の南北双方に広いバスターミナルができましたが、南口側に発着するバスは、そのバスターミナルへ至る直前に、道幅の狭い商店街を通過します。
この区間は人通りも多いうえに、車両は双方向通行、かつ、バスは途中で十字路を曲がります。バス本数も多く、すれ違いが困難な場所もあることから、十字路に常駐する誘導員が一方のバスを待たせ、もう一方のバスを通過させるといった誘導を行っています。
なお、ここに発着する「荻14」は西武新宿線の上井草駅付近、「荻11」「阿50」は下石神井付近など、石神井公園駅付近以外にも狭隘区間が存在します。
祐天寺駅付近(目黒区)
●経由するバス
・東急バス「黒06」:目黒駅前~祐天寺駅~三軒茶屋駅
目黒駅と三軒茶屋駅を結ぶ東急バス「黒06」は、大部分が狭隘区間といっても過言ではないルートで、うち一部区間は戦前から存在します。バスは住宅街の細道をジグザグに進み、車内では「この先、右に(左に)曲がりますのでご注意ください」といった放送が連続します。
ルートのほぼ中間に位置する東急東横線 祐天寺駅の前後は、歩行者や自転車はもちろん、路上駐車のクルマも多く見られる狭い道で、かつ双方向通行です。それらを巧みにかわしながら、バスは慎重に進みます。なお終点の三軒茶屋駅付近では上下線で異なるルートを取り、三軒茶屋行きはここでも商店街を経由します。
今回挙げたもののなかにも見られるように、狭隘路線は長い歴史を持っているものが少なくありません。バスが走るルートはすべて国から免許を得たものであり、たとえ周辺に新しい道ができても、簡単に変えられるものではなく、長い歴史のなかで地元にも定着しているのです。
いまの感覚からすれば「狭すぎるのでは」と思える道でも、バスが運行できているのは、バス会社やドライバーが培ったノウハウに支えられているといえるでしょう。
【了】
現在、石神井公園駅南口から石神井公園までの道路建設中。開通すると狭い商店街を通らなくてすみ、交通規制で石神井公園バス停で折り返す照姫まつり実施中も石神井公園駅南口バス停発着になる。
西武バスと関東バスでは、上石神井駅付近の道路が狭い(特に南口)。上石神井駅の地下化で改善して欲しい。
西東京バスでは奥多摩駅〜日原鍾乳洞のバスが細道を通る。狭いが故、土休日は途中にある折り返し場までしか行かない。
※西武バス:石神井公園駅南口→関東バス:石神井公園駅、西武バス:石神井公園→関東バス:石神井公園前