V2ロケットとジャガイモの意外な関係 WW2期ドイツ製「弾道ミサイルの祖」失速のワケ

ドイツといえばジャガイモ料理で知られますが、WW2期にロンドン市民を恐怖のどん底に陥れた、当時のドイツ製最新鋭兵器とジャガイモが深い関係にあったことはあまり知られていないかもしれません。意外なその顛末を追います。

驚異の新兵器とジャガイモ…?

「ジャガイモでフルコース料理ができなければ女性はお嫁にいけない」ともいわれているほど、ジャガイモはドイツ料理に必須の食材です。日本では、そのままネーミングされたようなジャーマンポテトは定番料理ですが、正確にはドイツ料理ではないそうです。

 ジャガイモは、第2次世界大戦中にロンドン市民を恐れさせた、ある兵器と関係があります。それは、現代のロケットやミサイルの元祖になったドイツの弾道ミサイル「A4」です。「A4」とは「Aggregat(アグリガット)4」の略で、訳すと「集合体4号」というそっけないものですが、のちに広く喧伝された「V2」の名称で有名です。

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ペーネミュンデ陸軍兵器実験場で発射テストされるV2ことA4。写真左は可搬プラットフォーム(画像:ドイツ連邦公文書館)。

最初ヒトラーは無関心だった弾道ミサイル「集合体4号」

 ヒトラーの新兵器好きは有名で、新型の飛行機や戦車などを見せられると子どものように興味を示して、活発に質問したそうです。ところが1939(昭和14)年3月23日に、クンメンスドルフ陸軍兵器実験場で初めてロケットの燃焼実験に立ち会ったところ、ひと言の質問も発しませんでした。兵器としての可能性を疑っていたようで、ほとんど無関心な様子だったそうです。開発者フォン・ブラウンの最終目標が宇宙旅行であり、兵器の形をしているのは宇宙ロケットへの通過点に過ぎないという本質を見抜いていたのかもしれません。

 ヒトラーがロケットの兵器としての有効性を認識したのは、1943年(昭和18年)7月7日にA4の発射実験のカラー映画を観てからです。大変興奮し、「このような兵器に人類は耐えることはできないであろう」という感想を述べています。

 悪化しつつある戦局を逆転できる決戦兵器としてA4の採用を決め、宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスは、無味乾燥だった集合体4号に宣伝効果を狙って、「報復兵器第2号」を意味する「V2(Vergeltungswaffe 2)」と命名します。

【写真】V2は兵器として実際どの程度だったのか ロンドン側の被害の状況 ほか

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