V2ロケットとジャガイモの意外な関係 WW2期ドイツ製「弾道ミサイルの祖」失速のワケ

突如飛来 迎撃不可…V2は決戦兵器たりえたのか

 ロケットは空軍管轄のようですが、遠方に火力を投射する大砲の延長線ということで、陸軍管轄とされています。

 1944(昭和19)年9月7日、陸軍砲兵第444中隊が史上初めて弾道ミサイルV2をパリに向けて発射しました。しかし発射された2発はいずれも途中で墜落してしまいます。第444中隊は9月8日に再びV2を発射、パリ郊外に着弾しますが、ほとんど被害はありませんでした。

 そして同じ9月8日、第485砲兵大隊がロンドンに向けて2発を発射、市街に着弾して死者3名、重軽傷18名の被害を出しています。しかしV2の命中精度は悪く、ロンドン市街地のどこかに着弾すればめっけものというレベルでした。それでも超音速で前触れもなく飛来し、迎撃不可能なV2に、ロンドン市民は多大な不安にさらされます。弾道ミサイルが心理的兵器と呼ばれる所以です。

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1945年に連合軍が撮影したV2のロケットエンジン工場(画像:ドイツ連邦公文書館)。

 弾道ミサイルを食い止めるには、発射される前に破壊するのが最も確実ですが、V2は工夫を凝らした移動発射式だったため、制空権を確保していた連合軍でも発射前に捕捉して攻撃するのは困難でした。発射時の長く伸びる白煙は上空から目立つのですが、発射点に攻撃機が到達するころには、部隊は移動してしまっています。実際に発射準備中に空爆を受けたという記録はありません。

 生産工場も、ドイツ中部のテューリンゲン州ノルトハウゼン近郊の岩塩採掘抗内に設けられており、爆撃では破壊できません。連合軍にとって、V2を防ぐ有効な手立てはありませんでした。

 まさに「人類は耐えることはできない」決戦兵器に思えますが、その後V2は急速に失速してしまいます。原因はジャガイモでした。

【写真】V2は兵器として実際どの程度だったのか ロンドン側の被害の状況 ほか

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