さよならANA「スーパードルフィン」 ずんぐりむっくりB737-500のやや地味な特徴とは?

特徴的な点は機首部分にあり!

 かつて「スーパードルフィン」は、コックピット窓のうえに、まゆげのような「天窓」がありました。これは「ネクストジェネレーション」以前の、737シリーズの特徴です。

 737シリーズは、ボーイングの初代ジェット旅客機、707シリーズの胴体設計を流用しています。この707が開発されたとき、現在のように航法装置が発達していなかったことから、自機の位置を計測する「航法士」が同乗する想定で設計されました。そして、航法士が星や月の位置を手がかりにフライトする場面も想定されたことから、天窓はそれらが見やすいようにつけられたものとされています。

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ANAウイングス「スーパードルフィン」の機首部分。赤枠の箇所が埋められているのが分かる(2018年、伊藤真悟撮影)。

 その天窓がついたボーイング707の機首デザインは、技術が発達して航法士が不要になったあとも、その名残りで後進の727、737に受け継がれます。737シリーズの第1世代、そして第2世代でもまだこの天窓付きが一般的でしたが、2020年現在、日本の航空会社で主力となっている737-800型機などの「ネクストジェネレーション」では、おおむね天窓を持たない「眉なし」の機首デザインに移行しています。

「スーパードルフィン」はよく見ると、天窓の部分が埋められているものが見受けられ、疑似的な眉なしになっており、これはこのモデルならではのものでした。

 ちなみに、737-500型機の姉妹シリーズで、-500型機より胴体の長い737-400型は、2019年5月までJALグループのJTA(日本トランスオーシャン航空)で使用されていましたが、こちらは最後まで天窓を残したまま運用終了を迎えています。

 ANKも737-400型を2000(平成12)年から2005(平成17)年まで使用しており、こちらは「アイランドドルフィン」という、「スーパードルフィン」のイルカが大きく描かれた特別デザインが凝らされていました。

【了】

【写真】コックピットから見る埋められた「天窓」

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