世界初「水素の大量輸送」確立 海外から液体で運ぶ資源循環が本格スタート 日本郵船
年間輸送量は「燃料電池車4万台フル充填」相当だそうです。
日本郵船は2020年6月25日(水)、同社が参画している次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)が、世界初となる水素の大量輸送の国際実証試験を本格的に開始したと発表しました。
この実験では、東南アジアのブルネイに建設された水素化プラントと、川崎市臨海部に建設された脱水素プラントのあいだで水素原料が輸送されています。
川崎市によると、ブルネイで製造した水素にトルエンを結合させ、MCH(メチルシクロヘキサン)に変換、常温かつ常圧の液体とし、それを船で川崎へ輸送、トルエンと水素を分離した後、水素を発電に利用します。さらに分離されたトルエンはブルネイに戻し、MCH製造に再利用するというものです。日本郵船は今回、一連の流れからなる水素サプライチェーンの循環が完成し、安定稼働に入ったとしています。
なお水素の輸送量はフル稼働時で年間210t、燃料電池車およそ4万台をフル充填する量に相当するそうです。日本郵船は今後、水素の輸送にとどまらず、舶用燃料としての水素活用技術の開発も含め、「究極のクリーンエネルギーと言われる水素に関わるビジネス機会を的確にとらえ、サプライチェーン全体に関わっていきます」としています。
川崎市によると、水素エネルギーは使用時にCO2を発生させないため、脱炭素社会実現の切り札として注目されており、将来、海外で安価な水素が大量に製造されることが見込まれるとのこと。しかし、水素を気体のまま運ぶには膨大な容積が必要となるため、海外から大量かつ効率的に輸送し、貯蔵する技術を確立すべく、今回の実証事業に至ったといいます。
【了】
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