路線バスで都県境越えの最難関「山梨ルート」 東京からバスが通じる「水源の村」の事情
太川&蛭子コンビが足止めを食らった東京~神奈川~山梨ルートも!
東京都から路線バスを乗り継いで山梨県へ向かうルートとしては、この奥多摩経由以外にもうひとつ、途中で神奈川県を経由しますが、京王相模原線の終点である相模原市の橋本駅などへ出て、そこから山梨県道志村を目指すというものがあります。
道志村へ通じている神奈川中央交通の三56系統も、西東京バスの路線と似通った事情があります。丹波山村および小菅村のケースと同様に、道志村と相模川水系・道志川沿いの地域は水資源でつながっているのです。
道志村には横浜市所有の水源涵養林があり、村内にある横浜市水道局の管理施設は2017年に100周年を迎えました。道志から供給される「赤道を越えても腐らない」といわれるほど良質な水は、国際航路が発着する横浜港になくてはならないものでした。
深刻な水源不足に悩まされていた明治時代から水を送り続けてきた道志と横浜の関係は深く、2003(平成15)年には道志村から横浜市への合併が打診されたほどです。隣接していないばかりか直線距離で50kmも離れているため実現には至りませんでしたが、その後、友好協定が結ばれ、横浜市の広報誌「広報よこはま」にはちょくちょく道志村の情報が載り、村内の温泉施設には「横浜市民割引」があるなど、交流が続いています。
道志村のほぼ東端にある月夜野バス停には、神奈中、そして山梨県富士吉田市へ通じる富士急山梨バスのポールが仲良く並び、行楽客でごった返すシーズンには警備員の誘導に従いながら並んで停まる両社の車両を見ることができます。しかし、この場所でバスを乗り継ぐには、村内で1泊が必要です。神奈川県側の三ヶ木(みかげ)から月夜野へ向かうバスは1日2本、そこから富士吉田に抜けるバスも少なく午前中で最終となり、道志村内で当日中に乗り継ぐことはできません。
なお、2007(平成19)年から放送が始まったテレビ東京系の旅行番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』の第1回、1日目で乗り継ぐバスが途切れたのもこの道志村で、太川陽介さんと蛭子能収さんのコンビが初めて宿泊したのも、この村です。月夜野には昔から有名な旅館が2軒ほどあり、秋に提供される鮎料理や味噌風味の打ち込みうどんも絶品なので、道志の星空を眺めつつ、宿泊込みで東京から神奈川県を経て、山梨県に向かってみてはいかがでしょうか。
※一部修正しました(7月1日9時20分)。
【了】
Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
山梨県って関東地方ではないけど、上野原市、大月市、都留市や富士五湖エリアなどは実質関東圏の一部のような雰囲気ですよね(道路や鉄道で例えると、中央自動車道やJR中央本線で笹子トンネルを境に別れているような感じ)。
中でも丹波山村、小菅村は確かに東京都奥多摩町からの方が近く、雰囲気も奥多摩とそんなに変わらないし、将来的に奥多摩町に吸収合併とかもありそう…。ちなみにこの2村の電話番号の市外局番も山梨側ではなく東京側のものが使われていますね。
同様に道志村は神奈川県相模原市に吸収合併とかもありそうだし、上野原市も神奈川県の一部でもおかしくないかと…
橋本は東京都じゃないんだが?
画像2枚目、如何にも橋本駅が東京都であるかのような表示は誤解を招くと思うが。
というかミスリードが目的か。