星条旗を掲げたレアな護衛艦 先代「あきづき」とは? 日本で造って自衛隊が使ったのに…

四半世紀にわたって旗艦であり続けた海自屈指の功労艦

「あきづき」は、充実した司令部設備により、引き渡し直後から海上自衛隊の実戦部隊のトップである自衛艦隊旗艦として用いられ、その後も護衛艦隊旗艦になるなど、常に海上自衛隊の中枢艦のポジションにあり続けました。

 また他国の駆逐艦に引けを取らない装備と余裕のある船体サイズから、遠洋練習航海にも重用され、世界一周やヨーロッパ訪問などを早い段階で行っています。

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初代あきづき型護衛艦が船体中央に装備する533mm4連装魚雷発射管(画像:海上自衛隊)。

 1985(昭和60)年、老朽化などで「あきづき」は護衛艦隊旗艦から外れ、支援任務がメインの特務艦に種別変更されました。しかし、25年ものあいだ艦隊旗艦であり続けたのは、稀有な例であったといえるでしょう。

 特務艦になったあとも、8年間海上自衛隊を支え続け、1993(平成5)年12月7日に除籍されました。艦歴は33年10か月を数えましたが、それだけ長寿だったのは、やはり船体サイズに余裕があった証左なのかもしれません。

 なお、OSPによる護衛艦の建造はあきづき型2隻のみで終了し、以後行われることはありませんでした。そのため、日本製の護衛艦で星条旗を掲げたのは2020年に至るまで、「あきづき」と「てるづき」のみとなっています。

【了】

【写真】太平洋戦争で奮闘 旧日本海軍の駆逐艦「秋月」

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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