北海道の医療現場に「空の産業革命」? ANA運航のドローンが処方せん輸送実験 国内初
ANA HDが中心となり「オンライン診療と服薬指導」と連動した、ドローンによる処方せん医薬品の搬送をメインとする実証実験を実施。広大な土地を持つ北海道で始まった国内初というこのデモ、実用化となればコロナ禍の医療現場にもマッチしそうです。
コロナ禍で始まった「空の産業革命」
経済産業省北海道経済産業局やANAホールディングス(ANA HD)などが主体となり、小型無人航空機「ドローン」による処方せん医薬品の定温配送をメインとする実証実験が、北海道旭川市の旭川医科大学病院を中心としたエリアで、2020年7月18日(土)、19日(日)に実施されました。
このデモでは実際の医療分野における活用を想定し、旭川医科大学病院の医師や近隣のアイン薬局の薬剤師らが参加。患者役に対し医師が「オンライン診療」を行い、処方せんを出し、そののちアイン薬局の薬剤師がオンラインで服薬方法を指導します。ついで、ドローンが同院近くの特別養護老人ホーム「緑が丘あさひ園」まで処方せんを配送します。このような一気通貫型のデモは国内初とのことで、ANA HDは事業取りまとめ、ドローン運航を担います。
使われるドローンはエアロセンス(東京都文京区)製のもので、最大1.2kgを搭載でき、最高2000mまで上昇可能。今回のデモでは約540mの距離、最高50mの高さを飛行します。このドローンには、医薬品保冷ボックスが搭載されており、その中に処方せんを入れ運搬します。保冷ボックスは、パソコンを用いて温度管理が可能な機能を持つトッパンフォームズ(東京都港区)製のものです。
この実験を、先端技術を活用した「空の産業革命」と称した北海道経済産業局の安藤保彦局長によると、北海道は、その広さから都市部のように患者が医療機関にアクセスすることが難しく、医療格差が発生している地域もあるそう。重ねて新型コロナウイルスの影響で、通院から帰宅まで通して接触リスクがあることなども課題となっているといいます。
ANA HDによると今後のデモをモデルケースとして、その範囲を北海道各地への展開や、道外の地域への展開も視野に入れたいとのこと。今後は非対面医療による感染リスク低下や、家で治療が受けられる未来をつくりたいとしています。
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