【空から撮った鉄道】地上に現れる地下鉄の車両基地 これまで出会った特徴的な基地を北から

日本の地下鉄は札幌から福岡まで公営・民営・第三セクターと存在します。そのほとんどが地面の下を走るので上空からは写せませんが、車両基地は地上にあることが多く、いくつか撮ってきました。今回は各都市で出会った基地を紹介します。

空撮が困難な地下鉄でも車両基地なら…

 日本の地下鉄は、公営・民営・第三セクターがあり、集電方法は第三軌条方式、架空電車線方式。軌条は一般的な鉄軌条、ゴムタイヤ式、鉄輪式リニアモーター駆動と、バリエーションがあります。いくつかの都市では、複数の事業会社が乗り入れる路線もあり、複雑な運行もされています。中には京都市営地下鉄東西線のように、地下区間から地上に出ると路面区間を走るというユニークな路線も…。

 地下鉄は鉄道空撮が困難です。地上区間はいつものように撮れますが、何せ地下区間はどうやって空撮しても、地面を写すばかりですから(笑)。概況説明のように「この道路の下を走っています」と、街と道路を空撮して誌面に紹介したことはありますが、鉄道を空撮するというより、街を撮っていると言ったほうがしっくりしました。

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完全密閉された建屋に覆われている札幌市営地下鉄南北線の南車両基地。シールドが左右に伸びているのが南北線の本線で、豪雪地帯ならではの光景だ。なお、奥に見えるのは陸上自衛隊真駒内駐屯地である(2014年11月27日、吉永陽一撮影)。

 そんな空撮が困難な地下鉄でも、車両基地は地上に存在することが多いです。いままで撮ってきたのは、札幌市営地下鉄、仙台市地下鉄、東京メトロ、都営地下鉄、りんかい線(と言っても、広義的な地下鉄であり、東京貨物ターミナル駅を撮ったついでですが……)、横浜市営地下鉄、大阪メトロです。それぞれの車両基地のうち、いくつか特徴的な基地をチョイスしてご紹介します。

 まずは北限の地下鉄、札幌市営地下鉄です。すべての路線がゴムタイヤ式で、地上区間は積雪から守るためシールド(シェルター)で覆われる構造です。地上区間はパイプ状の高架橋のため、走行シーンを空撮することはできません。さらに地上にある車両基地も、完全密閉された建屋に覆われています。南北線真駒内駅(札幌市南区)と自衛隊前駅(同)至近にある南車両基地を空撮してみましたが、長細い工場のような建屋のため、車庫を撮っている感覚が一切しません。どう撮っても車両が見えずお手上げです。逆に言うと、この密閉された感が、厳しい寒さの雪国の地下鉄なのだなぁと実感しました。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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