元JALの「ジャンボ」 世界を救う「火消しヒーロー」へ大変身 その稀有な経歴とは

貨物機になったJA8086の「ヒーロー」への大変身の顛末

 エバーグリーン航空は2000年代中盤ころから、保有する「ジャンボ」を改造し、山火事などの大規模火災の際に、上空から消火剤などを散布する空中消火機「スーパータンカー」を運航する事業を開始します。ところが、2013年に同社は倒産。当時普通の貨物機だった元JALのボーイング747-400型機、元JA8086も2015年までは出番がない状態でした。

Large 200908 8086 02
「スピリット・オブ・ジョン・ミューア」として生まれ変わった元JALのJA8086(画像:Global Super Tanker)。

 その後同国のグローバル・スーパータンカー・サービシーズという会社が立ち上がり、エバーグリーン航空の空中消火機事業を引き継ぎます。このとき、新たな次世代の空中消火機として選ばれたのが、元JA8086です。2016年「The Spirit of John Muir(スピリット・オブ・ジョン・ミューア)」(機番:N744ST)として、元JA8086は全世界を股にかける世界最大の空中消火機としてデビューします。

 この「スピリット・オブ・ジョン・ミューア」に搭載できる水や消火薬剤は約7万3000L。これらの補給も30分でできるそうです。もちろん、ジェット旅客機の「ジャンボ」がベースなので、全世界にも20時間以内で消防活動を開始することができるといいます。

 デビュー後の「スピリット・オブ・ジョン・ミューア」は、イスラエル、チリ、ボリビアやなどでも消火を担当したほか、直近では9月のアメリカ・カリフォルニア州の森林火災の消火にあたるなど、2020年に入っても世界の森の「火のトラブル」を救うヒーローとして活躍しています。

【了】

写真でサッと見る元JALの「ジャンボ」JA8086のいま

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

2件のコメント

  1. 南米の山火事に出動したときの現地での給水は消防車がやっていた。
    強力なポンプがなければ最大70tにもおよぶ積載量も宝の持ち腐れ。
    現地のリサーチと体制の準備が大変だろう。

  2. もし日本で山火事が起こって、JA8086が任務に当たったら…
    「懐かしい…」と涙を流して消火が早まったりして。