「海鉄」誕生か 電車を海から見てみよう+飛行機 モーターボート東京巡りの結果〈PR〉
新幹線や飛行機の撮影を、モーターボートに乗って海から挑戦。陸からとは違う景色や撮影ポイント、ボートそのものの楽しさに「海」の可能性を感じ、「船舶免許をとってしまおうか」という考えに至ったのは、自分でもビックリです。
水上バスから、見たことはあるものの
数人乗り程度のモーターボートに乗ったことある人、多くないかもしれません。
私(恵 知仁:乗りものライター)も、今回の取材で乗ることになった2019年2月までそうだったのですが……なかなかに“悔しい気持ち”になりました。
東京都中央区の「勝どきマリーナ」を定員8名のモーターボート「FR-23 ActiveSedan」で出発し、隅田川、そして東京湾へ進みます。
このあたりの風景は水上バスからも見られるので、特に目新しくはありませんでしたが、海面を間近に見ながらしぶきをあげ、エンジン音も高らかに水を切って進む迫力、楽しさは、水上バスにはありません。
レインボーブリッジをくぐってからが、今回の取材でとても楽しみにしていたエリアです。
「時刻表にない線路」を、海から撮影
それは、「なかなかない撮り鉄」です。進路を京浜運河に向け、南下します。
ちょうど、N700Aタイプがやって来ました。東海道新幹線には、田町駅付近で本線から別れて、東京湾岸の大井車両基地に向かう回送線が存在。列車が渡っているのは、その京浜運河に架かる橋です。
海から眺める新幹線、しかも市販時刻表に載っていない回送線。「レアな感じ」にテンションが上がります。
またこの回送線は、「大汐線」と隣り合って京浜運河を渡っています。同じく、田町駅付近から湾岸エリアに向かう在来線です。
この「大汐線」、現在は使われていませんが、これを活用する形でJR東日本が、東京駅方面と羽田空港を結ぶ「羽田空港アクセス線構想」を推進中。将来、列車が頻繁に行き交う場所になるかもしれません。
何度も通った線路を、逆の場所から見上げてみる
そんな未来に想いをはせつつ、入った京浜運河をさらに南下。すると、現れました。東京モノレールの線路です。
朝もやも青空も夕焼けも夜景も、羽田空港へ行くとき、車内から何度も眺めた京浜運河。そこから逆に、列車を撮影する――。良い意味で違和感が強く、テンションが上がります。
運河の上を走っていくモノレールが、モーターボートからは丸見えです。下から、横から、望遠で、広角で、自由自在の撮影。
こうしたロケーション、アングルからの東京モノレールの写真というのも、なかなか見ることがないので、ファインダーにうつる視界が新鮮です。
話が前後しますが、レインボーブリッジをくぐったときも、実は「撮り鉄」してました。
「海から陸」の次は
「とても楽しみにしていたエリア」は形を変えて、さらに続きます。京浜運河をもっと南下すると、見えてきました。
羽田空港です。あいにく雪が降っており、写真的にはコントラストがハッキリしない感じですが、白く霞む空の向こう、ジェットエンジンの音が聞こえてきて、飛行機が“おなか”を見せながら、弧を描き、天高く上がっていきます。
青空が広がっていたら、さぞ“絶景”なことでしょう……。
予定変更、「京葉線らしい写真」を撮影!
天気が空を撮るには不適切なので、予定を変更します。
東雲(しののめ)運河に入り、見えてきました。JR京葉線です。
周囲に風をさえぎるものが少ない海の近くを高架橋や鉄橋で通る京葉線は、強風による運行支障対策で、線路脇に防風柵を取り付けた区間が多い路線。このたび訪れた場所もそうで、車両をスッキリ写すのは困難でしたが、あえて前に船を入れて、「東京の臨海部を行く京葉線」らしい写真を狙ってみました。
イメージと違った世界 旅先でも使える
およそ3時間の取材が終了しました。
こうした数人乗りのモーターボートに初めて乗って、思ったのは「新しい道ができたかのよう」「行けるところが増える」「街や乗りものを見たり、写真を撮ったりする“視点”が広がった」「すなわち“世界”が広がった」です。
話を聞くと、このモーターボートを操縦できる国家資格の「2級小型船舶操縦士免許」は、10万円程度の費用、最短1日で取得が可能とのこと。
モーターボートを所有するのはその代金、維持費が大変ですが、ヤマハマリンクラブ・シースタイルであればレンタカーのように借りることができ、「勝どきマリーナ」で今回借りたものは、3時間で1万8900円から使えます。キャビンがない船なら、8900円からです(税込。別途、燃料代が必要)。
これぐらいであれば、「話の種にもなるし」と免許を取って、仲間同士でシェアして使えば、大きな出費にはなりません。
正直、「モーターボートで海を楽しむ」というと、「お金持ちな人の趣味」というイメージがありましたが、使い方次第で全然そんなことはなく、日常的なレジャーになりそうだなぁ、という印象でした。
というわけで「残念、もっと早く知っていれば」「知らなかったのが悔しい」という、冒頭部分に繋がります。
若い頃に知っていたら、仲間うちで、もしくはひとりで自由に、いろいろ楽しいこともできたんだろうなぁと思いました。撮影もいいですが、ちょっとしたパーティとか。
……いや、「若い頃」というのはよくないですね。私はアラフォーのおじさんですが、いま、この機会に免許をとって家族で楽しむのはどうかと、結構真面目に悩んでます。
住んでいる場所の近くに限らず、旅先、例えば沖縄でモーターボートを借り、好きなように操縦して南国を満喫、なんてこともできるわけですから。
割引券、あります
2019年3月7日(木)から10日(日)まで、「ジャパンインターナショナルボートショー2019」が開催されます。新型ボートの展示などのほか、ボートを楽しむための初心者向け展示やイベントもあるとのこと。
とりあえず私は、これに行ってみようかと考え中です。場所は「パシフィコ横浜」と「横浜ベイサイドマリーナ」で、入場料は1200円(一般)。以下の公式ウェブサイトから割引券をダウンロードすると、1000円になります。
●「ジャパンインターナショナルボートショー2019」ウェブサイト
https://www.marine-jbia.or.jp/boatshow2019/
●ヤマハ発動機「ボートショー2019」スペシャルサイト
https://www.yamaha-motor.co.jp/boatshow2019/
【了】
Writer: 恵 知仁(乗りものライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。