八王子に眠る「日本初のトラック」 ガス灯メーカーから誕生した日野自動車 背景に陸軍

レプリカというよりもリビルト 100年前の部品を使用して再生

 TGE-A型トラックは、東京瓦斯電気工業の独自設計とはいいつつも、多くの部分でアメリカのリパブリック「モデル10」を参考にしていました。このことが、日野自動車21世紀センター・オートプラザにTGE-A型を展示する際に大きな後押しになったようです。

 というのも、製造当時のTGE-A型トラックは日本に現存しておらず、日野自動車21世紀センター・オートプラザに展示されているのは、実はレプリカです。しかし、参考にしたリパブリック「モデル10」がアメリカのシカゴに2台残っていたことで、うち1台を日野自動車が購入、これを流用することでTGE-A型トラックを再現することに成功したのです。

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「TGE-A」型トラックの車体下部(2020年8月、柘植優介撮影)。

 このような経緯のため、TGE-A型トラックはレプリカといいつつも、シャシーや走行装置などは当時の部品であり、きわめて再現度の高いものとなっています。

 そのため、「再現」ではあるものの、経済産業省の「近代化産業遺産」にも指定されています。1996(平成8)年のリビルト当初は、日野自動車の敷地内や八王子市のイベントなどで実走したそうです。

 そして来年、2021年は日野自動車創業111周年とゾロ目の年であり、かつTGE-A型トラックが復元されて25年、四半世紀の年でもあります。日本初の国産トラックがどのようなものだったのか、改めて振り返るにはちょうどよい時期といえるのではないでしょうか。

【了】

※一部修正しました(9月16日7時29分)。

★★八王子に行かないと見られない「TGE-A」型トラックを写真でたっぷり★★

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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