わずか0.3kmの至近駅 山手線を越える高架 東急池上線 大崎広小路~五反田間の謎

路面電車を除き、東京都内の地上鉄道で最短の駅間距離である東急池上線の五反田~大崎広小路間は、なぜ至近に駅があるのでしょうか。歴史を見ると、いまは無き始終点駅も関連した、同線の生い立ちが分かります。

五反田~大崎広小路間 路面電車などを除き都内の地上鉄道で最短駅間

 都心近くの鉄道路線で異彩を放っているもののひとつが、東急池上線の五反田~大崎広小路間でしょう。

 池上線の五反田駅ホームは、JR山手線ホームのはるか上、吹きさらしともいえる場所にあり、そこから3両編成の電車が出発します。のろのろと走りだしたと思ったら、すぐに大崎広小路駅(東京都品川区)に到着。駅間は300mほどしかありません。

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池上線の大崎広小路~五反田間。写真右端が五反田駅。現在は高架線路の両側を多くのビルに囲まれている(1980年頃、内田宗治撮影)。

 筆者(内田宗治:フリーライター)はこの大崎広小路駅のすぐ近くで生まれ育ちました。昭和の終わり頃まで住んでいたのですが、その時代、地元民や近くにある立正大学の学生で、五反田~大崎広小路間の1駅を利用する人は、絶無といってよい状態でした。現在のように大崎広小路駅に高架ホームへのエレベーターはなく、五反田駅での池上線と山手線ホームを結ぶエスカレーターもありませんでした。長い階段を上り下りするくらいなら、短い駅間を歩いた方がましだと皆が感じていたようです。

 筆者など当時の小学生にとって、ゆっくり走る五反田~大崎広小路間の池上線の電車は、見かけたら並行する道を駆けだして競走する、遅くて古い電車といった存在でした。同区間は営業キロで0.3kmしかなく、東京都内の地上鉄道(都電・東急世田谷線は除く)で最も短いのです。なぜこんな至近に駅があるのでしょうか。

【地図】かつて池上線はどこを目指した? いま無き始終点駅も

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