「魚雷艇ごとアルプスを越えろ」どうやって? イタリア海軍の大遠征 最後はフィンランドへ

第2次世界大戦中、陸路でアルプスを越えた船がありました。これはイタリアで開発されたM.A.S.魚雷艇で、同盟国の求めに応じてホームグラウンドの地中海を飛び出し、黒海、さらにはフィンランドのラドガ湖まで行き、戦っています。

イタリア海軍のロシア派遣は陸路でアルプス超え

 1941(昭和16)年6月にドイツがソ連に侵攻を開始し、いわゆる独ソ戦が始まると、イタリアもドイツ支援を表明しました。そしてドイツ海軍は黒海における船舶輸送の安全を確保するため、イタリア海軍に対して人員と機材の派遣を要請します。

 それはあくまでも海上交通路の安全確保が目的のため、大型艦船ではなく小型船舶でした。そこで白羽の矢が立ったのが、前出のM.A.S.艇です。排水量が小さく輸送しやすいため、1942(昭和17)年春には最新の500型10隻の派遣が決まります。

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フィンランドのラドガ湖に派遣されたイタリア海軍のM.A.S.「526」艇。イラストでは後方に13mm機関銃を搭載しているが、ラドガ湖派遣時には20mm機関砲に換装された(吉川和篤作画)。

 ただし、地中海からエーゲ海を経て黒海に入るルートは、当時中立国のトルコを経由しなくてはならず政治的に困難で、しかも動きがソ連に筒抜けになる恐れがあったので、機材を一部陸路で運ぶ輸送が検討されました。

 しかし、いくら小型とはいえ、排水量30トンの船を黒海まで輸送する行程は並大抵ではありません。行軍は3度に分けて行われ、操舵室やマストを分解した船体を大型トレーラーに搭載した「大名行列」のような車列が、アルプスのつづら折りの山道と標高1375mの峠をゆっくり抜け、途中からドナウ河の水路を使って苦労の末、黒海までたどり着きました。

 現地でM.A.S.部隊は、クリミア半島南端にあるヤルタなどを基地として黒海沿岸の哨戒任務に就き、重巡洋艦「モロトフ」大破や輸送艦2隻、哨戒艇1隻撃沈などの戦果を挙げ、翌1943(昭和18)年5月に残った艇をドイツ海軍に譲渡して帰国しています。

【写真】船が陸路アルプス越え!? トレーラーに載せられたM.A.S.艇。

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コメント

2件のコメント

  1. 船頭多くして船山を登るって、こういうことだと思ってた。

    恥ずかしながら。

  2. 日本の某湖の遊覧船はどうやって持ってきたか?というクイズを思い出しますね。 

    それと1998年北陸新幹線のCM、映画クリムゾンタイドのパロディで潜水艦なのに「長野に向かえ」「長野には海がない」「湖があるだろう」というのもありました。 

    謎のモンゴル海軍は今はどうなったでしょうか…

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