超電導リニアモーターカーの廃線跡がある新しい特急「36ぷらす3」の車窓

見たことない形になっていた鉄道の高架橋

 進行方向右手に日向灘をしばしば眺めながら、見晴らしの良いところでは徐行しつつ、特急「36ぷらす3」は快調に北上。この日は、台風一過の良い天気。南国宮崎の日射し、そのまぶしさが逆に旅情をかき立てます。

 そんな進行方向右手に、しばらくすると高架橋が現れました。「宮崎実験線」の廃線跡です。

 国鉄時代の1977(昭和52)年に開設された超電導リニアモーターカーの実験線で、全長7km。1996(平成8)年にそこでの走行試験は終了し、超電導リニアモーターカーの走行試験は、中央新幹線が開業した際にその一部になれるよう建設された山梨実験線へうつって、現在に至ります。

 超電導リニアモーターカーが走らなくなった宮崎実験線はその後、メガソーラー太陽光発電所などへ転用されました。

 特急「36ぷらす3」からその見た姿は、たくさんの太陽光パネルが断続的に連なり、およそ「鉄道の高架橋」のイメージにない、独特の形をしています。なおこの宮崎実験線についても、特急「36ぷらす3」の車内放送で紹介がありました。

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「36ぷらす3」の各車両で行われた客室乗務員のあいさつ(2020年10月10日、恵 知仁撮影)。

 特急「36ぷらす3」が走る日豊本線に沿って延びていた宮崎実験線が、「JR鉄道総合技術研究所」と書かれた建物で終わると、列車は12時32分ごろ、美々津駅(宮崎県日向市)に到着(運転停車)。

 車内放送から「美々津は神武天皇が東征に出発した場所と伝わる」といった話が流れて、「36ぷらす3」は終点の別府に向け、再び北上を始めます。

【了】

【写真】特急「36ぷらす3」の車窓に現れた「超電導リニアモーターカーの廃線跡」

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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