「背のひく~いオデッセイ」は何だったのか ミニバン先駆者「変身」の歴史 新型は
マイナーチェンジしたホンダ「オデッセイ」。“背の低いミニバン”というジャンルを作り上げた立役者ですが、5代目からは一転して背が高くなっています。そうしたオデッセイの「変身」の歴史を振り返ります。
苦肉の策で誕生した「背の低いミニバン」
ホンダの“最上級ミニバン”として君臨するのが「オデッセイ」です。現行の第5世代モデルが誕生した2013(平成25)年より7年を経て、2020年11月にマイナーチェンジが実施されました。今回は、オデッセイの歴史を振り返り、その価値を考察したいと思います。
最初のオデッセイが登場したのは1994(平成6)年10月のことでした。1990年代初頭は、バブル終焉で、昭和から平成へと移り変わった時代です。クルマの人気傾向にも変化が生まれ、それまでになかったRV(レクリエーション・ヴィークル)に注目が集まるようになりました。いまでいえばSUVとミニバンのニーズが高まってきたのです。
ところがホンダには、SUVやミニバンを作る生産設備がありませんでした。そこで乗用車用の生産設備を使って、当時としては常識外れであった“背の低い”ミニバンを生み出します。それが初代オデッセイだったのです。当時の人気ミニバンである日産「セレナ」の全高は1850mmほど。それに対して初代オデッセイの全高は1645mmで、20cmも背が低かったのです。
また、ミニバンならではのスライドドアも初代オデッセイには採用されていません。普通の乗用車と同じドアが4枚、それも仕方ないことでした。なぜなら乗用車を作る設備で初代オデッセイは作られたのです。正直、苦肉の策だったと言っていいでしょう。そんな初代オデッセイを、ホンダは「広い空間とセダンの快適さや走行性能を合わせ持つ新しいコンセプト」とうたって売り出しました。
ところが、“背の低い”ミニバンの初代オデッセイは大ヒットモデルとなります。室内の広さでいえば、当然、従来からある“背の高い”ミニバンの方が圧倒的に上です。オデッセイが勝っていたのは“セダンの快適さや走行性能”でした。そして、市場はホンダの提案を支持したというわけです。
本来オデッセイクラスのトレッドなら丁度良い高さかな、外国に売られて行ったフェリーは増築して転覆したりしましたがね
キャンピングカーもワイドトレッドか後輪にはダブルタイヤですかね
3・4代目のオデッセイは、全高をタワー式駐車場に入る高さにすることで、ミニヴァンの側からステーションワゴンとミニヴァンの融合を目指した車でした。ホンダの名車といっていいと思います。
5代目(現行)のオデッセイは、エリシオンを吸収したことで背高・スライドドアになりましたが、オデッセイの長所もエリシオンの長所も引き継げない、どっちつかずの車になってしまったようです。
ボンネットライン直下のスペーサーを予めセダン用に入れておくことで、タワー式駐車場に入ることのできる全高に抑えたオデッセイと、室内高を高くとった1BOX型ミニヴァンのエリシオンを、同じ車台(プラットホーム)で造ることはできなかったのかという疑問を持たざるを得ません。